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「楽しい、心地よい身体運動」が脳をつくる

吉田洋一

吉田洋一

テーマ:運動による心身の発達

 前回は、子どもたちが「楽しい、心地よい運動」をすることによって、「身体そのものが脳の情報器官」の処理を行い、子どもの心身の発達を促している。と述べました。
 これは、多様な自発的身体運動を行うことによって、感覚神経と運動神経の両方の情報器官を取り込みながら、脳が発達しているとの理論です。
 そうであれば、人間は他の動物と同様に胎児のときから身体運動を行いながら心身の発達を促し、能動的に自立しようとしているのではないでしょうか。
 そう考えると、胎児の胎動時期、つまり、赤ちゃんがお母さんのお腹にいるときから身体運動を介して、脳の発達は始まっているのではないでしょうか。
 胎児にとって、胎動は何でしょうか。「話しかける」「おなかをなでる」「好きな音楽を聴く」「歌をうたう」「適度に身体を動かす」「散歩する」などの胎教でしょうか。
 次に、乳児においても、生活時間のほとんどをまどろんで過ごしていますが、突然にアラームのように泣き出します。通常は、空腹であったり、寒さであったり、暑さだったり、痛さだったりと様々に何かしらの不快が強い刺激となって現れます。が、ここにも、乳児は能動的に身体運動を行おうとする行動があるのではないでしょうか。これをサポートするのが、親などの「マザリング」や「アタッチメント」ではないでしょうか。
 また、「アーアー」「ウーウー」などのクーイングや「ダーダー」「バブバビ」などのバブリングでやりとりの共有を積極的に行い、親などと情動を伝え合うコミュニケーションも必要です。
 身体的にいいますと、「ハイハイの重要性」です。ここにも身体と脳の関係があります。胎児や乳児に、積極的に語りかけながら優しく身体に触るボディタッチをしましょう。
 幼児以降については、前回までのコラムで述べましたが、保育園の保育士や幼稚園の先生、学校の先生の皆様には、子どもたちそれぞれの発達段階における心身の発達を育てることがその子どもたちの生きる力になります。
 なぜこのように身体運動を行えば脳が発達するのかですが、前のコラムでも述べましたが、知識が豊富にある子どもでも、自分の身体を自由自在に動かせないという事実です。子どもが悪いわけではありません。子どもたちは身体を自由自在に操る術しらない、場がなくなっていることが実態なのです。
 現状は、子どもの遊び場が、「子どもの声がうるさい」と大人のエゴで廃止される現状です。つまり、子どもたちが外遊びできないのです。そして、親は遊んでばかりいないで勉強しなさい、と知識脳が優先の言動です。
 皆様方から積極的な身体運動を通して、子どもたちの心身の発達を促してほしいのです。
 また、保護者の方のご理解が一番たいせつなのです。日々の過ごしで大変かと存じます。が、こどもたちは15歳までの心身のケアがとても重要になります。
 皆様方、子どもたちの「楽しい、心地よい身体運動」が脳をつくっていることをご理解ください。

 私が研究する子どもの心身の発達について、「脳を育てる」から今回の「楽しい、心地よい身体運動」まで解説してきました。
 一通り説明できたかなと思います。関心がある方は、もう一度コラムをご覧ください。
 4月から、またJr-openが始まります。子どもたちを信じて、子どもたちに「楽しく、心地よい運動」を提供していきます。
 コラムは、毎日掲載できないと思いますが、子どもの心身の発達や脳科学でまた新しい研究が発表された時など随時に掲載したいと考えています。
今後ともよろしくお願いいたします。

次回に続きます。

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吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

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