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吉田洋一プロはIBC岩手放送が厳正なる審査をした登録専門家です

脳からみた、子どもの心身の発達

吉田洋一

吉田洋一

テーマ:運動による心身の発達

 前回は、「楽しい、心地よい運動」は、「優越性追求の方向付け」であり、「生きる力」なのです。を紹介しました。
 さて、また脳についてお話いたします。なぜ、私が脳について訪問の皆さまに紹介しているかですが、「脳の発達と子どもの心身の発達が連動している」からに他なりません。子どもたちにテニスを教えて40数年経ちました。近年、脳科学の進歩で解らなかったことが解るようになりました。また、やはり、そうだったんだということもたくさん証明されてきました。
 訪問の皆さまへ一番にお伝えしたいのは、子どもを見た目つまり表面の表情や態度、発する言葉以外の内面の心つまり脳についてもご理解いただきたいと思い、コラムで述べさせていただいております。
 私は、脳科学者や脳外科医ではありませんので、実際に脳のこの部位をこうすればこうなる施術的なことはお話できません。が、脳科学の研究により「楽しい、心地よい運動」が脳に効果的な刺激を与えていることや子どもの心身の発達に深く関わっていることが実証されました。このことが発表されたときは、やはり、そうだったんだ。間違いなかったんだ。と、今までの自分の教え方で良かったんだと安堵したのでした。この経験から、子どもの心身の発達でお悩みの皆様方へお伝えしようとの思いでコラムを書いております。
 子どもの心身の発達でお悩みの方や子どものからだのおかしさにお気づきの方や子どもが神経発達症(発達障害)と診断された保護者の方に、このコラムで述べていることをもう一度簡単にご説明いたします。
 事例をお話しします。過去に、継父(離別)から虐待を受けたそしてきょうだいへの虐待を見た子がいます。精神病院へも入院しました。アスペルガー症候群の症状があります。その子が数年前から私のスクールに通っています。その子は、とてもテニスが好きなようです。「この子には大好きなものがある」という発見でした。それも「全身でボールを打っている」ときでした。そして、この時は、テニスで「みんなと同じことを一緒にできる」のでした。
 つまり、その子には、「生きる力」の優越性の追求があることに気付きました。私のテニス指導は全身の身体運動を伴ったもので、子どもたちには「楽しい、心地よい運動」として捉えられています。その子は、学校での大役や行事などで重荷の負荷から、触覚過敏や聴覚過敏を起こすことがありますが、その子の日々の生活は、大好きなテニスを通して、安定して過ごしています。その子の保護者も「どこに症状があるのか、わからないくらいです。」と明るい表情で語ります。
 また、その子は精神病院へも入院しましたが、精神の諸症状はみられません。当時の嫌なことは脳に記憶されているといいますが、その記憶の度合いを細くすることができます。これが、脳の仕組みです。つまり、テニスという「楽しい、心地よい運動」という脳の仕組みを増幅させると、脳のシナプスの可塑性により、新しい脳のネットワークをつくり出すことができるのです。使わない嫌な記憶のネットワークを細くすることができるのです。
 その子は、「楽しい、心地よい運動」により、脳に「新しいシナプスのネットワーク」を構築し続けていると考えています。
 また、「Jr-Open」についても、同様の思いで活動しています。
 SNSや科学雑誌等では、これら脳科学の研究の成果がたくさん報告されています。脳からみた子どもの心身の発達を今後とも皆様へご紹介したいと思います。
 次回に続きます。

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吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

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