「ギフテッド」ではなく「特異な才能のある子ども」の支援について
子どもの精神発達の続きを述べる前に、皆様にご紹介したい児童精神科医師をご紹介したいと思います。その方は、田中康雄先生です。ご存じの方もきっと多いことでしょう。先生は現在、札幌市中央区にある「こころとそだちのクリニック むすびめ」院長であり、発達障害研究及び治療のエキスパートです。北海道大学大学院教授を経て、2012年5月に同院を開院。全国各地で講演を行って理解を深め、発達障害の患者や家族に対する親身な支援を行っております。こうしたことからも、関係者から大きな支持を受けております。同院では子どもから大人まで幅広い年齢層の患者やその家族と真摯に向き合い、話を聞きながら治療を進めています。「ADHD子育てお悩み相談室」では、なかなか思う通りにいかないADHDのお子さんを育てるお母さん、お父さんの悩みなどにも対応しています。
先生は保護者の思いをとても大切にされております。田中先生の著書は発達障害を主としてたくさん出版されておりますが、その中の著書「「発達障害」だけで子どもを見ないで その子の「不可解」を理解する」から、先生の子どもとご家族の診立てと思いをご紹介いたします。
もしかしたら、わが子には「発達障害」という診断が付くのではないだろうか、あるいは周囲からの指摘に、思い悩み、漠然とした「不安」を抱えた保護者の方々に読んでいただけたら、という思いでこの本を作りました。一人ひとりの子どもたちに向き合い、家族にかかわり、たくさんの応援者を活用する手立てを考える上で、「発達障害」だけで子どもを見ないことが、とても大切である、という僕の思いです。
「「発達障害」だけで子どもを見ないで」のタイトルは、最後の最後に決定しました。僕は、日々をただの一臨床医として、本人や家族、そして関係者と出会い、一緒に生活の細々としたことを相談するときに、「発達障害」だけでは、話が進まない、進ませてはいけないという思いを強くもっています。それでも時には、「発達障害」だけで、話が終わってしまいになることもあります。でも、僕が向き合っているのは、「発達障害」ではなく、多彩な個性の持ち主である一人ひとりの子どもであり、家族です。その理解を、僕はどれだけ伝えているか、そもそも僕が彼らに近づけているか、それが常に僕の課題でもあります。
子どもの発達障害の診察に携わる先生としても、家族が一緒にかかわる子育てにより、関係が安定したり、元気になったりすること、そして何よりも日々の生活を楽しめることをも願っています。また、どの子もその子のペースで必ず成長し、また親が設定した目的には沿わずとも、どの子も結果としての育ちを見せることを親や家族は喜んでほしいと願っています。
以上、田中先生をご紹介いたしました。その他にも田中先生のような児童精神科の先生は皆様方のお近くにいらっしゃると思います。一人で悩んでいらっしゃる方もいらっしゃるかと思いますが、皆様方のご参考になればと思いご紹介申し上げました。
(R4.5.30再掲)