教える前に「子どもの基本的人権」を保障、尊重し、理解すること
今回から4回にわたり、子どもの精神発達と学校との関りについて述べたいと思います。子どもをもつ親としてどうしても切り離せないのが学校との関りです。当たり前ですが、一日を学校で過ごす時間が多いのが子どもたちです。皆様に、子どもが学校との関りについて、精神発達という観点からみてみたいと思います。
今まで人間の精神発達は、「認識の発達」と「関係の発達」の相互関係であることを述べました。では、学校では何を教えているのでしょうか?学校の学習といえば「知識」の習得だと皆さんは即座に思うことでしょう。「知識」すなわち精神発達的には「認識」です。学校で頭のいい子という表現は、知識が豊富にある子のことを指していました。また、中学校の先生方が〇〇高に何人入れたとかお話を聞いたことがあるかもしれません。親とすれば、子どものテストの点数に一喜一憂していました。つまり、今までの学校では「知識」を重要視した学習でした。人間の精神発達では「認識」を重要視していたのです。
ところがです。国の新しい学習指導要領(2020.3)が180度というくらい変わりました。何が変わったかというと知識偏重の学習から、「社会に開かれた教育課程」という、子どもたちが社会と共有・連携していくためには、何を身につけるかを明確にしていく学習に移行したのです。子どもたちは、主体的な学び・対話的な学び・深い学びへと移行し、子どもたちの育成すべき資質や能力の三つの柱は、1個別の知識・技能「何を知っているのか、何ができるのか」、2思考力・判断力・表現力「知っていること・できることをどう使うか」、3学びに向かう力・人間力「どのように社会・世界と関わり、より良い人生を送るか」となりました。どうでしょうか。2と3の柱は第三者があっての資質や能力です。1の知識・技能も知っているだけではだめで、第三者へ自分の知識で何ができるのかとしています。
つまり、人間の精神発達でいうと「関係」を重要視する方向へと大転換しました。