幼児の発達の症状の特徴43
<親や支援者はどうかかわるのか>
発達障害とは、いうなれば子どもの側の育つ困難のあらわれです。ここからは養育者(親)の側の子どもを育てる困難、子育てのむずかしさから生じる失調について考えていきます。
子育ては必ずしも容易(たやす)いわざではありません。子育ては深い歓びや楽しみを人生にもたらす営みであり、それゆえに私たちにはこの必ずしも容易くない営みを、人生のかけがえのないものにするのです。
何よりも子ども自身が育つ力をもっています。子どもが育つには養育者をはじめ、周りの大人からの不断のかかわりが必要ですが、それは大人が意識的・意図的にはたらきかけるというよりも、子どもから必要なはたらきかけを(多くの場合は楽しみとともに)知らず知らず引き出されているのです。子どもがもつ「育つ力」とは、育て手側からそれを「引き出す力」といえるかもしれません。
それゆえ、ふと気がつけばいつの間にか眩しく成長したわが子の姿に驚く瞬間を親は見るのです。
発達のおくれをもち、この「育つ力」の弱い子の親になることもあります。けれども、その子どもたちがおくれを抱えながら、何とか育っていこう、よく生きようと努める姿をすでに述べました。その子どもと努力を相たずさえて生きることは、そうでない子を育てるのと違わないかけがえのないものになります。
参考文献 子どものための精神医学 滝川一廣著