遺産分割協議書 ひな形 ~教えて!相続のキホン⑨ @岩手 盛岡~
相続は多くの人にとって人生で何度もあることではありません。準備の間もないこともよくあることで、戸惑う方が多いのも当然です。
そこで、日ごろはあまり気にしない「相続」の基本的な事柄についてわかりやすく説明していきたいと思います。
まずはじめは「相続とはなにか?」というテーマ。
○そもそも、相続ってなに?
これからよく出てくる言葉として、「相続人」というのがあります。これは「財産を継承する人」をこう呼びます。一方、「亡くなった人」は「被相続人」と呼びます。最初は混乱しますが…すみません、慣れて下さい。この言葉を使わないと説明の文章が分かりにくくなってしまうので(汗)
民法という法律では、「相続人は相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」(民896条)と定めています。
分かりにくい文章ではありませんが、ツッコミ所はありますよね。
誰が相続人になるのか?…相続開始の時っていつ?…権利だけじゃなく義務も?と。
では、次に開始の時とは。
○相続の開始時期
「相続は、死亡によって開始する。」(民882条)
これも民法の規定です。
という事は…誰かが亡くなったその時に、なんの手続きをしていなくても自動的に権利は動いているのです!もしも相続人が複数いる場合は、自動的に共有となります(この「共有」という状態が厄介なのですが…)。
でも、預金や不動産の名義が自動的に変わるでしょうか?変わらないのです!そこには手続きが必要なのです。以外とこれを勘違いしてる人がいます。特に高齢の方で、不動産の名義に関して。「役所が財産を管理してるんだから、死亡届出せば職権で修正してくれるんでしょ。」って思って放置しちゃうケース(そしてこれを放置した結果がまた厄介なのです…汗)。
○同時死亡の推定
さて、ここでひとつアタマの体操です。
相続は死亡によって開始するという事は、ほんの数分の違いであっても相続においては財産の行方が変わることになります。例えば事故や災害などの危難に遭遇して複数の親族が死亡した場合です。
例)子供のいない夫婦が、事故でともに亡くなったとします。 この場合の、夫の財産はどのようになるのでしょうか。
ケース① 妻の死亡が、夫より後であることが証明された場合
夫の財産は1/3が夫の親族に相続され、残りを妻が相続し、妻の死亡により妻の親族が全て相続します。
ケース② 死亡の先後が分からない場合
???…って思いますよね。
こんな場合のために、民法にはこんな規定があります。
「数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。」(民32条の2)
この場合、同時期に死亡した数人の間で相続は発生しません。
ですので、このケース②の場合は死亡した妻への相続は発生せず、夫の財産は、夫の親・兄弟の親族のみに相続され、妻の親など親族への相続は発生しません。
このように、数分でさえ当事者には争いのもとになります。
死亡が記載されている戸籍を見たことがあるでしょうか。最近は医療機関や行政の手続きも整備され、可能な限り○○時○○分まで正確な時刻が記載されるようになっています。
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