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上總隼(かずさたかし) / 行政書士

ハヤブサ法務事務所

コラム

相続法改正② ~配偶者居住権~

2019年12月24日

テーマ:相続

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続税

① 配偶者居住権の創設(短期・長期)
相続財産の中に不動産があると、その評価額がすべての相続財産の中で大きな割合を占める、ということが多くあります。これを評価額で公平に分けてしまうと、残された一方の配偶者が余生を暮らす住居を失ってしまったり、不動産はあるけど生活費が無くなる、といったことがあります。このため、配偶者の居住権を保護するための方策について新たに整備されました。これが「配偶者居住権」と「配偶者短期居住権」です。
(1) 配偶者居住権(1028条)
配偶者が「被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた」場合で、遺産分割協議や遺贈、裁判所の審判で権利として得られます。所有権とは別に居住権だけを切り離して守られるので、所有権は他の相続人に分けることができます。

2000万円の価値がある不動産

所有権を1000万円
居住権を1000万円 
…で分けやすくする、といったイメージ。




引用:法務省

原則として、残された配偶者が生きている間は無償で生活することが守られます。ただし、他者と共有の不動産では認められません。居住権が長期に及ぶことも予想されるので、第三者にまで制限するのはさすがにダメ、ということです。
また、長期間に及ぶ配偶者居住権は、建物所有者等により建物の処分がされるおそれもあるので、建物の第三者対抗力(1031条2項・605条)を備えることができる、つまり登記で守ることができますので、これも大事なポイントです。

(2)配偶者短期居住権(1037条)
これまでも、亡くなった方と同居していた配偶者は、遺産分割協議が終了するまでの間は使用貸借契約が推認される(家を借りて住める)という判例(最判平成8年12月17日)がありました。これを新たに制度として認めた改正です。
相続発生と同時に、配偶者に当然に認められますが、「短期」と付くようにその期間は6か月だけです。
法律上当然に認められる権利なので、遺言や相続人による遺産分割協議がなくても構いません。登記をする必要もありません。

※配偶者居住権、配偶者短期居住権の制度は、2020年4月1日から施行されます。施行日後に開始した相続について適用され、施行日前に開始した相続については、適用されません。

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