【オプトアウト】子育て支援メッセいしかわ会場で糖尿病検査を受けた方へ
子育て世代の生活習慣病を考えるまちかど糖尿病指導薬剤師の笠原友子です。
開業以来、予防的視点から仕事をしており、
地域ボランティア「未来への絆プロジェクト」の世話人もしています。
今年で5年目になりますが、地元の成人式で糖尿病検査をして来ました。
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二〇歳(はたち)節目に、糖尿病検査
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今年は、MRO北陸放送のニュースやwebニュースでもご紹介いただきました。
成人式にあわせ糖尿病検査
日本で唯一、成人式で糖尿病検査を無料で実施しています。
それも、地元の個人や企業からの寄付と、全員地元の学校関係者と医療関係者のボランティアで実施しています。
地元の子供たちを健やかに送り出そう!
そんな願いが込められた成人式の糖尿病検査ですが、新しい門出へのはなむけと思ってもらえているのかどうかは、まったくわかりません。
視力低下をきっかけに糖尿病を発見された若者たち
糖尿病は、検査をしないと分からない病気です。
ある夏のこと、20歳代後半と30歳代前半の若者が、立て続けに糖尿病の生活指導を求めて薬局を訪れたことが、事の始まりでした。
彼らは、視力低下をきっかけに糖尿病性白内障が発見され、手術を受けて帰ってきたと言うのです。
メガネを作りにメガネ屋に行ったら、眼科受診を勧められ、眼科に行ったらさらに内科受診を勧められ、糖尿病性白内障の診断を受けて、糖尿病の治療をしないと手術できなかったそうです。それまで、何の自覚症状も無かったにもかかわらずです。
「若いから大丈夫!」と言う言葉は何ら通用していません。
過去の古い情報によると、女性の方が糖尿病性白内障にかかりやすく、若者の年代層の進行速度がやたら早いとありますが(次号に続く)、まさにその若者が立て続けに目の前に現れたのです。
メガネをかけて普通に暮らしていると見た目からは分かりませんが、予後を考えると深刻です。
糖尿病の合併症へのカウントダウンが始まるだけでなく、白内障の手術をした後の目は紫外線がダイレクトに入って来ますから、加齢性黄斑変性症による失明の確率が上がってしまいます。
心のキャッチボール
「ありがとう!」「ありがとうございます!」と言って、検査に来てくれる新成人たちを誇らしくまぶしく見送っている地元の医療関係者。
地元の子供たちを健康に送り出そうと言う志賀町成人式の糖尿病検査は、2016年から始まり今年で5年になります。
先にお話しした通り、全額を地元の個人と商工業者の寄付金で賄い、スタッフ全員が地元の学校関係者と医療関係者のボランティアで運営されています。
この、我々が投げたボールを受け取って、投げ返すかのように検査に来てくれる新成人の
中には「わたしは検査を受けたくない」と意思表示に来てくれる方もあります。
この心のキャッチボールを返してくれるのに、地域性があります。
成人式には、地元にある2つの中学校の卒業生が参加していて、小規模の中学校と大人数の中学校の卒業生の人数差は2倍ほどあります。
人数の多い学校の卒業生が沢山検査に来るであろうと、簡単に想像することが出来ます。
ところが実際は逆です。
小さな学校の卒業生の方が、人数的に1.5倍
卒業生数の割合から言うと、3倍
他の地域と比較することは出来ませんが、この地域では、少人数の学校卒業生の方が、アンケートを記入することで自らの生活を省み、さらに健康を気遣って検査に来る確率が高いのです。
理由はまだ分かりません。
地域性によるのかも知れませんし、各々の出身中学校の方針の差かも知れません。
一つ違う事があります。
小さな学校の方は私自身が小中学校の学校薬剤師担当校なため共に過ごしているのですが、小中学校が連携して共同で学校保健委員会を開催し、毎年同じテーマで協議しあって活動をしてきています。
幼いころからの小さな健康教育の積み重ねの成果が、自らと周囲の健康を気遣う心を育んでいるのかも知れません。
子供たちに健康教育をすることは、結果として自然と子供たちの家庭へ向けて健康教育することにつながっているのではないかと感じています。