今までと今から
まちかど糖尿病薬剤師の笠原友子です。
9月23日、24日の連休に、
金沢市で日本薬剤師会学術大会が開催されます。
金沢駅周辺のホテルや施設を使って
全国から約1万人の薬剤師が学術大会に集まります。
笠原健招堂薬局は、
漢方薬やサプリメントを使った健康相談のほかに
病院やクリニックから発行される処方箋の調剤も行っており
和と洋の両方から健康へのアプローチを続けています。
日ごろから、日常の薬剤師活動の中での身近な情報を確かな情報としてお届けできるように
またこれを薬局に来店される方と後の方々に役立てられるように心掛けています。
2012年に出版した糖尿病は栄養をとれば健康に戻るもその一つです。
当店の残薬の廃棄最高額は328.6万円
今回は、2つのテーマで発表します。
1つ目は
薬局店頭で実施した飲み残し薬の再利用の実践報告です。
一般演題:P-12-14
「患者服用薬の残薬整理~能登半島一薬局の実践例」
〇笠原秀行、笠原友子(笠原健招堂薬局)
みなさんは、病院でもらった薬をのみ残したり、
のんでいる途中で数が合わなくなった経験をお持ちではありませんか?
2016年4月に調剤報酬の改正があり残薬整理が評価されたこともあって、
薬剤師が残薬を確認することで、薬剤師サイドでの処方日数の調整が簡便化されました。
そこで実施したところ、廃棄薬を除いて
初年度の2016年4月~2017年3月までで、1万6千錠超
次年度の2017年4月~2018年3月までで、8千錠超の薬を再利用しました。
金額にすると約100万円になります。
1年あたり約50万円で、中医協の研究報告を上まわりました。
廃棄残薬の総額は、
1人当たりの廃棄薬の最高額は、328.6万円でした。
古くなっていたり、処方変更で飲めなくなった薬は廃棄しており
今回は廃棄薬の集計はしてありませんが
最高額の方の1人分で、そこそこの車が買えそうです。
再利用されたものを薬効別にみると
中枢神経系用剤、循環器用剤、消化器用剤、代謝性疾患用剤など
治療にとって重要な薬剤ばかりです。
そして、
のみ残しをしている患者のほとんどが後期高齢者でした。
これらの薬は飲まなくても良かったのでしょうか?
パーキンソン氏病と糖尿病患者を除いて
飲み残している患者のほとんどに
症状悪化による処方変更がありませんでした。
これを集計すると喜ばれそうですが
集計するためには、医学倫理申請をして承認されないと出来ませんので
今回は見送りました。
何かわからない薬は、廃棄します
老人たちの手元には、ほかにも大量に飲み残し薬がありそうですが
今回のように再利用されない場合はどうなっているのでしょう?
その多くが、介護事業者の手によって
廃棄されている実態を聞きしました。
2018年からの地域包括支援事業開始を前にして
2016年2017年の2年間は、能登半島のさまざまな介護関連業種から講師の依頼を受け、
薬剤師業務を紹介してきた各会場で、介護現場での廃棄の事実を伝えられたのです。
健康保険は、自己負担額が1割~3割です。
薬の価格は、この自己負担額の金額相当にしか認識されにくいようです。
「何かわからない薬は、廃棄します」
介護関係者に「薬剤師に聞く」と言う視点は抜けていますね。
薬剤師が、聞きにくい職種なのかも知れません。
そこで、地域薬剤師会長をしている立場で
石川県の予算を使っての「お薬教室」を実施しました。
2つ目の発表は、介護関係者へのお薬教室の有用性の検証です
一般演題:P-17-15
「地域包括ケアにおける多職種連携へ
医療・介護と薬剤師を結ぶ『実験 お薬教室』の有用性」
〇笠原友子、吉野貴大、日光智愛、羽咋郡市薬剤師会、
能登北部薬剤師会、七尾支部薬剤師会、かほく支部薬剤師会、石川県薬剤師会
お薬に関する実験を同じテーブルで薬剤師がサポートして行ったものです。
お薬に対する理解度だけでなく、薬剤師や薬剤師活動に対する理解度や親しみやすさが
有意に高まりました。
どんな薬が飲まれていないか、
どんな薬が飲まれないと影響が出やすいか、
どんな方法をとれば、人と人との関係性が近づくか
集計方法等、身近な情報を確かな情報としてお届けできるいい勉強になりました。
10月から、新しい年度が始まります。
糖尿病患者様向けに関しては、確かなサポートが可能になるように
この秋~来春にかけて新しい商品を検討中です。
準備が整いましたら、またご案内いたします。