こんなにある!お灸の効果
身体に何か異変を感じたとき。
「鍼灸院へ行こう!」とすぐに思い立つ人は少ないのではないでしょうか。
しかし「不調を感じて様々な病院へ行ったけれど、たらい回しにされ、最後の望みとして行き着いたのが鍼灸院だった」という方も少なくはありません。
私たちはどのような場合に、鍼灸院という選択をすれば良いのでしょうか。
“突然痛みを感じた”という急性的な症状は、命に関わる危険性もあるので病院へ行く必要があります。一方、“1ヶ月くらい痛みが続いている”というような慢性的な症状は、鍼灸院が適していると判断するのが良いでしょう。
鍼灸治療は、症状を根本から治療すること。その時々の様々な不調とうまく付き合っていくための、薬に頼らない身体に優しい治療法です。そのため、継続して治療を受けることが必要になります。
鍼灸院でできることは大きく2つ。
一つ目は『鍼治療』
鍼灸院で使う鍼は、人間の毛よりも細くて柔軟性がある針。その針を用いて、身体の特定の部位に刺激を与えて治療する方法です。“針を刺す”と聞くと痛そうなイメージが浮かびますが、一般的に鍼は「痛みも副作用も少ない」と言われています。
鍼を刺すと、交感神経と副交感神経のバランスが整えられます。自律神経が整い、ストレスや原因不明の不調を軽減する効果が期待できます。
特に局所的な血行障害がある場合には、針の刺激で血行が改善します。血流が改善すると細胞や体内の組織に対して酸素や栄養素の供給が増え、細胞の代謝や再生能力が向上します。神経や筋肉、関節などの痛みに直接働きかけることが出来るのも鍼の特徴です。
二つ目は『灸治療』
『艾(もぐさ)』と呼ばれる、ヨモギの葉から作られた綿状のものを使って行う治療法です。艾には植物中に含まれる天然の成分やアミノ酸、ビタミン類などが含まれていて、薬草のような独特で強い香りが印象的。
方法としてはまず、米粒程にした艾を皮膚の上に直接おいて火をつけます。すると皮膚に小さな火傷ができるのですが、この小さい火傷がツボだけでなく血液成分にも影響を与えます。具体的には細菌などを退治する役割を持つ白血球を増やし、免疫力を高めてくれます。またあえて火傷を作る事により、自然治癒力を活発にする目的もあります。
灸で身体の特定の部位に熱を与えることで血行が促進すると、筋肉の緊張が緩和します。自律神経の調整や免疫力の向上などの効果も期待できます。
灸の方法としては、皮膚に直接あてる『直灸』と、針などを介して行う『内灸』があります。
『直灸』は、熱を伴った艾を直接患部に当てる方法。特に局所的な痛みやコリに効き、熱で温めるため冷え性などにも効果的です。直灸の場合は施術部位を見極めたり熱さを調整したりすることが重要なので、患者さんの状態や症状に合わせた丁寧な施術が必要とされます。
『内灸』は、灸器と呼ばれる道具などを使って灸をする方法。身体に点在するツボに熱を加えることで免疫力を高めたり、疲れを取ったりする効果があります。内灸の場合は全身のツボを使って施術するため、身体全体のバランスを整える効果が期待できます。
鍼灸は、あらゆる身体の不調改善に有効な治療方法。
自律神経をはじめ心臓や胃腸、血管等の働きの調整やメンタルヘルスにも効果が期待できるうえ、循環器疾患や婦人科系疾患、眼科系疾患や小児科疾患など幅広い分野の疾患に対する有効性もあると言われています。もし健康診断などで『経過観察』などの判定が出たら、早めに鍼灸院を利用して相談してみると良いでしょう。鍼灸院で身体のメンテナンスを始めるのに、「早すぎる」ということはありません。