【行書】の基本と歴史を解説!大人のペン字に欠かせない習得法
街を歩いているとき、老舗の暖簾(のれん)や看板に書かれた文字を見て「なんて書いてあるのだろう?」と不思議に思ったことはありませんか?一見すると記号や模様のようにも見えますが、実はそれらは私たちの知っている漢字やひらがなの「別の姿」なのです。
ペン字を学び始めたばかりの方にとって、こうした読めない字は難解に思えるかもしれません。しかし、その正体を知ることは、文字のバランス感覚を養い、単調な字から脱却する絶好のチャンスです。今回は、街中の看板を入り口に、文字の成り立ちと美しさの秘密を紐解いていきましょう。
1. 看板の字が「読めない」理由――それは「変体仮名」
下の画像の看板はなんて書いているかわかりますか?

私たちが街中で、古い看板などが「読めない」と感じる最大の理由は、明治時代以前に使われていた「変体仮名(へんたいがな)」が使われているからです。
現代のひらがなは、一つの音に対して一つの形(例えば「あ」は「安」という漢字から生まれた)と決められていますが、昔は一つの音に対して複数の漢字を崩して使っていました。
看板にこうした文字が使われるのは、決して意地悪をしているわけではありません。お店の歴史や風格、あるいはデザインとしての美しさを表現するために、あえて現代の標準的なひらがなとは違う形を選んでいるのです。
「読めない」ことに引け目を感じる必要はありません。むしろ「これはどの漢字から生まれたのだろう?」と観察することこそが、文字の形を捉えるトレーニングの始まりです。
2. 「そば」の例で読み解く、文字のダイナミズム
具体的によく見かける例を挙げてみましょう。
お蕎麦屋さんの看板がこのような流れるような字で書かれているのを見たことはありませんか?
上段に書かれている字は「き楚者」、中段に書かれている字は「幸福楚者」です。
現代の表記にすれば「そば(蕎麦)」です。
「楚」:これが曲者です。実は「そ」という音を表すために、かつてはこの「楚」という漢字を崩した形がよく使われていました。これに対して、現代の「そ」の元になっている漢字は「曽」です。元になっている漢字自体が別のものです。
「者」:これが「は(ば)」の元になった漢字の一つです。現代の「は」は「波」から作られていますが、看板ではこの「者」を崩した形が「は」として定着しています。
このように、変体仮名によって「そば」と書かれているのです。
初級者の方は、まずは読むことよりも、この「楚」や「者」といった漢字が、どのように形を変えて今の「そ」や「は」に繋がっているのか、その変化の過程を想像してみてください。文字の「骨格」を意識する習慣がつくと、ペン字の練習でも「どこを長く書き、どこを短くすべきか」が自然と見えてくるようになります。
3. 今日からできる!看板の観察をペン字に活かすコツ
「読めない字」を見つけたら、スマホで写真を撮って、後でその文字を指でなぞってみることをお勧めします。ペンを持たなくても、指でなぞるだけで「ここで筆が止まっている」「ここは一気に駆け抜けている」というリズムを体感できます。
また、先ほどの「そば」のように、元の漢字を意識しながら今のひらがなを書いてみるのも面白いでしょう。「は」を書くときに、頭の片隅で「者」という漢字のバランスをイメージするだけで、不思議と字に重厚感が生まれます。
学校で習うひらがなだけが正解だと思わずに、変体仮名のような多様な形に触れることで、あなたの文字に対する感性はぐっと磨かれます。「読めない字」は、あなたのペン字を豊かにしてくれる「アイデアの宝庫」なのです。
私は街歩きをしながらこのような字を探しています。
実際街で見つけた読めない字は、
YOU TUBE [[ https://youtube.com/] の再生リスト「あるある読めない字」 にまとめています。私のチャンネル「少しだけきれいな字が書きたい」と検索していただき、100を超える事例をまとめた再生リストにチャレンジをしてみてはいかがでしょうか。
終わりに
街の看板の「読めない字」は、私たちに文字の自由さと奥深さを教えてくれます。このような看板を見かけたら、ぜひ立ち止まってその造形を味わってみてください。
なぜその形になったのか、どうして美しく見えるのか。その小さな「なぜ?」の積み重ねが、文字の成り立ちを理解する助けとなり、あなたを本当の美文字へと導いてくれるはずです。
ペンを握っていない時間も、街中の文字を楽しむことで、あなたのペン字は少しずつ、しかし確実にこなれた大人の字へと変化していきます。


