シリーズ【看板の字が読めないのはなぜ?】NO2   旧字体を知れば文字の骨格が正しく書ける

髙橋空晃

髙橋空晃

テーマ:字の知識

ペン字の初級者になり、行書の練習を始めると、街の看板,のれん、幟、表札などに書かれた文字の「重厚感」に目が向くようになります。
しかし同時に「知っている漢字と微妙に形が違う」と戸惑うこともあるはずです。

下の画像に書かれた字は何と堂々としているのでしょう。
ただ、読むのはむづかしいのではないでしょうか?

                  「寳(宝) 珠 臺(台)」

                  「寫(写) 經(経) 場」

その大きな要因は、現代の「新字体」ではなく、伝統的な「旧字体」がベースに使われていることにあります。旧字体は画数が多く複雑に見えますが、実は文字本来のバランス(骨格)を保っています。今回は、看板などによく見られる旧字体の構造を紐解き、ペン字の表現力を広げるコツを解説します。

1. 現代の漢字は「略された姿」であるという視点

私たちが普段使っている漢字(常用漢字)の多くは、戦後に簡略化されたものです。対して、老舗の看板や歴史ある建物の表札には、簡略化される前の「旧字体」が今も大切に使われています。

初級者の方が看板を見て「読めない」と感じるのは、単に崩されているからではなく、土台となっている骨格そのものが現代の知識と異なるからです。旧字体を知ることは、文字の「本来の姿」を知ること。これが行書を美しく崩すための強力な武器になります。

2. 「國(国)」と「眞(真)」に見る、旧字体の安定感

具体的な事例を挙げてみましょう。
同じ読みの漢字が上下段に並べられています。上段に旧字体、下段に新字体が書かれています。


旧字体國              上段:旧字体  下段:新字体

「國」(現代の「国」):表札や古い公共の看板などで見かけることがあります。現代の「国」は中が「玉」ですが、旧字体は「或」と書きます。画数は増えますが、その分、文字の中に密度が生まれ、どっしりとした風格が漂います。




旧字体眞              上段:旧字体  下段:新字体

「眞」(現代の「真」):看板やお名前の表札で非常に多く使われます。現代の「真」と違い、上部が「ヒ」のような形で、また中部の横書は「L」の形になっています。

こうした旧字体を観察すると、現代の略字がいかにスリム化されているかが分かります。初級者のペン字において、こうした旧字の要素を知識として持っておくだけで、字に奥行きと品格が生まれるのです。

3. 旧字体の骨格をペン字に活かす

なぜ初級者が旧字体を知るべきなのでしょうか。それは、行書の「崩しのルール」の多くが、実は旧字体の画数や流れに基づいているからです。

現代の新字体(略字)だけを見て行書を書こうとすると、どこか線が繋がりにくかったり、不自然な空間が空いてしまったりすることがあります。しかし、看板の「國」や「眞」のように、元の複雑な骨格を頭の片隅に置いておくと、ペンを動かすべき「正しいルート」が見えてきます。

4. 字典を活用して「知識の引き出し」を増やす

看板で見かけた難読な旧字体は、ぜひ「常用漢字」と「旧字体」が対比されている字典で調べてみてください。一つひとつ知識を整理していくことで、あなたの書く行書には根拠に基づいた自信が宿るようになります。

私が実際に街で見つけた読めない字は、
YOU TUBE [[ https://youtube.com/] の中の再生リスト「あるある読めない字」 にまとめています。私のチャンネル「少しだけきれいな字が書きたい」と検索していただき、100を超える事例をまとめた再生リストにチャレンジをしてみてはいかがでしょうか。

終わりに

看板の「読めない字」の正体を知ることは、文字の歴史を遡る旅でもあります。旧字体の美しさを理解したとき、あなたの書く一画一画には、今まで以上の重みと品格が宿るようになるでしょう

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髙橋空晃
専門家

髙橋空晃(ペン字講師)

神戸うはらペン字教室

初心者から検定合格を目指す方まで、少人数制のレッスンでわかりやすく指導。単に字を整えるだけでなく、字を書く楽しみを知っていただき、日常生活に作品を取り入れた彩りある生活を提案しています。

髙橋空晃プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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