ちゃんと聴いてる
「母の調子があまり良くない」と書いてから、もうひと月以上経つのだけれど、
相変わらず、微熱が出たりへっこんだりを繰り返している。
誤嚥性肺炎などを疑い受診もしたが、肺炎の所見は無いとのことで、風邪薬を処方された。
(レントゲンを撮ること自体が物理的に困難・・・というのもあるだろう)
抗生物質が出たが服薬している間も症状は変わらず。
薬が終わって、そのまま今に至っている。
微熱の間に2日や3日は落ち着いている時があり入浴もしている。
しかし、食事の際、口をあまり開けない時や呑み込みが悪い時があるようで、施設では「やわらか食」にしているとのことだ。
そもそも母は、うにゃっと柔かいモノが、あんまり好きではないのだけれど。
先日、家に帰って来たときも、湯豆腐は一口しか食べなかった。
あえておかゆさんにしなかった「ごはん」を口に入れると、もぐもぐの速度が上がり、
次々と大きな口を開けて催促してきて、私が運ぶほうが遅くて焦るほどだった。
やっぱりね、食べたいモンはちゃんと食べるんやん。
朝は、大好きな苺を、バクバク食べた。
小さいカケラにしていたが、催促が早くて、少しずつ大きくなって、最後には口いっぱいにほおばるようにして食べて、「おいしい~」と言った。←聴けて、うれしかった~
もちろん、気を付けないといけないことはたくさんある。
合間に飲ませようとした「かぼちゃスープ」は噴いたし、粉薬も難しくなった。
寝る前のいわゆる“口腔ケアは、ベッドに寝てから、頭の上側に私が座り、口の中をゆっくりと掃除する。そうすると、いろんなものが出てくる。特に右頬の裏。
ここは、まるでリスが冬眠前に食糧をため込むポケットのようだ。
面白いことに、好きなモノの備蓄率は低い。
食べやすい(噛みやすい)かどうかも多少影響はあるが、それよりも、好きかどうかやなぁと思う。
口の中の掃除にかかる時間はどんどん増えてきた。この前は30分以上かかったな。
でも、このポケットからの取得物?を参考に、次何やったらもっと食べられるかを考えることができる。
なかなか口を開けることは難しくなってきているけれど、それでも、頭の上からうるさく言いながら、指を突っ込んでいると、少しずつ母の協力?も感じられるのだ。
ポケットがすっかり空になって、口もすっきりしたら、やっぱり気持ちいいよね。
そうそう、
歯が抜けたり欠けたりが目立つようになったので、前から、診てもらえる歯科を検討していて、先日ようやく初めての歯医者さんに行ったけれど、母は全く口を開けず、結局何もできずに帰って来た。
何度も何度も、「口を開けてください」と言われている母をみて、それが伝わるぐらいなら、こんなにならへん・・・と正直思ってしまって、とても悲しくなった。
そこの先生は、認知症の患者さんでも長年通ってきている人の治療はできているとおっしゃった。時間はかかっても「何をされるところなのか」がわかると、ちゃんと伝わるとおっしゃるのだ。虫歯の治療が必要かは別として、口の中をプロの手で清潔に保つことはやっぱり大切やからと。
確かに、ずっと続けている夜の口掃除では、日によってかかる時間は違うけれど、ちゃんと口を開けて、私に口の中を触られている。
予約の間隔が開くので、相当通わないと難しいとは思うけれど、先生の持論は、本来私が信じているコトと同じなのだ。
理想と現実に、特に最近イロイロと心が迷う。
けど、いっちょここはガンバッテ、通ってみることにしよう。
何よりも、あの「おいしい~」をこれからも聞きたいから。
微熱も嚥下障害も、認知症の症状としては、よくない。
今後、必要な治療や対応というものをいろいろと選択していく「覚悟」を、日常的に持たないといけないのだ。
イヤでも、それが現実。