熱の効果か
母の調子は、その後もあまりよくはなってこない。
時間はかかっても、なんとかトイレに行くことまではできるのだが、
一度座ると、次はもうなかなか立てない。
いつもより長く座っててもらって、そろそろいいかな・・・という頃合いを
みはからって、声をかける。
「出た?」ときくと、出ても出ていなくても、「ふん」と言う。
「よかったね~」と言いながら、お尻と便器の中を見る。
その時の状況に合わせて、必要な始末をし、
「さぁ、いこっ」「立つよ~」「せ~のぉっ」・・・
この土日は、立てるまでにだいたい4・5回、同じことを繰り返した。
あきらかに、立てないとわかるときは、すぐこちらも力を抜く。
途中まで立ちかけて、突然、座る方にキョウレツに引っ張られる時は、
こちらのバランスが崩れて、けっこう危険。
腕も腰も指も、あちこちが痛い。かなり疲れた・・・
移動は、あの白いキャスター椅子でカバーできるが、
狭い場所での立ち上がりを介助することのほうがよっぽど難問。
デイサービスやショートステイに行かない日の日中は、
父が一人で母をみているので、トイレ介助だけで相当の負担になっている。
そして、母もやはりかなりのエネルギーを使うのだろう。
しょっちゅう力が抜けて、ほや~と、夢の世界に入っていく。
座っていても、食べている最中でも、突然、寝る。
できれば、昼間はベッドで横になることは、さけたいと思っていたが、
母の疲労具合と、立ち座りの負担を考えると、そうも言ってられない。
ある程度のメリハリがつけば、「寝たきり街道驀進」・・・には、ならないとも思うし。
昼間過ごしている居間(台所とひとつづき)に母の電動ベッドを持ってくることにしよう。
手軽に、寝たり起きたりがかなうし、立てなくなって、床にへたり込んだ時には、
ベッドの昇降機能がリフトとして活かせる。
少しずつ、部屋を父と片づけ始めた。
ホントに動けなくなってからのまだまだ先でいいかな・・・と思っていたけど、
今が少しでも楽に快適になることなら、「今しとこ」と思う。
居間の片隅、本箱の前。
私が退院した時に、ベッドを置いてもらっていたのと同じ場所。
食事の支度をする母の気配が感じられて、夜はみんなと一緒にテレビもみれて、
「うちに帰ってきた・・・」としみじみ思えた場所だから、
これからの母の毎日も、ココロおだやかに過ごせたらいいな。