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痛いとも言わず

坂部智子

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テーマ:母の介護

母は、昨日の“下痢”以降、頓服が効いたのか お腹はすっかり落ち着いている。
熱も出ず、食欲もあり、ゴキゲン。

この”ゴキゲン“で居てくれている・・・というコトに
本当に救われている気がする。

朝起きるまでに、紙パンツからあふれるほどの便が出て、
シーツまでグチャグチャで 気持ち悪かったことだろう。
お腹も、ホントは痛かったんじゃないか・・・と思う。
認知症がすすんで、もうそんなことはわからない・・・のかもしれない。
けれど、なんで気持ち悪いのか、痛いのか、因果関係(?)まではわからなくても
その瞬間の“快”、”不快“は、確実に感じているはず。
瞬間に感じた“不快”を覚えてられなくて、結果ゴキゲンで居てくれる。

すごいことだと思う。
こんなに出来た人間はいないんじゃないか・・・・と思える。

落ち込んだり、いらだったり、フツーに日常生活を送る中で
沸き起こる、いわゆる“不快”な感情。
その瞬間だけのコトとできたら、どんなにいいだろう。

パンツを替えながら、母に「ごめんね」と言った。
「どういたしまして」と、笑ってくれた。
話しは通じずトンチンカン。
けれど、なんだか、涙が出そうになった。

日本昔話に出てくるような、縁側でこっくりこっくりしながら
いっつもニコニコ笑っているおばあさん。
理想のお年寄り像のようだけれど、
認知症だといわれている、今の母の姿と同じ。
すごいな。

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