読んだ本その3
図書館で探したときはいつも貸出し中だったのを、
やっと「今日返ってきた本」の棚で見つけた。
「親鸞(上)」(五木寛之著)
新聞の連載を途中から読み始め、愉しみにしつつも、毎日読み続けるという根気が無く、
「いつか本になったら読もう」と思いながら、ようやくめぐりあったのだけれど・・・
後白河法皇の時代、武力で抑える時代へと移ろう世の中・・・
人の心の弱さ、エゴ、欲、無情・・・
迷う心、求める心・・・
これほどまでに人は、自ずから求め、心の闇に対峙し、学び、乞い
血反吐を吐き、命懸けで、生きられるのか・・・ということに・・・
感動とか、驚嘆とかそんな軽い言葉では言い尽くせない想いで打ちのめされる。
8歳から29歳までの日々。
時代が違うと言ってしまうのは、あまりにもうしろめたい。
生きるために犯した様々な罪・・・
今ではもはや、誰も罪とも思っていないようなことまでも含まれる。
地獄を怖れ、極楽浄土を願う・・・
この「怖れ」を持つということが、今はなにより希薄になっているのでは・・・
などと思いながら、300数ページを一気に読んだ。
読み返したいと思う。
たぶん、まだ何も、読めていないのだと思う。
もう一度読むのは、少し怖い・・・そうも思う。
読むたびに、いろんな自分の中の蓋が開くような、そんな怖れが湧いてくる。