外でスッキリ
朝、母を起こす。
のぞきに行く前にすでに勝手に起き上がって座っている時もあれば
目だけ開けて、どてーんと横たわったままのこともある。
そんな時は、枕元に腰掛けて、顔を覗き込みながら「おはよう~」としつこく言う。
寝ぼけて遠い世界に行ってたとこから、「ん~~?」と、だんだん帰ってくる感じ。
「さぁ、起きよっかぁ~」と言うと、少~し頭を持ち上げる。
すかさず肩に手をあてて、「起きれる~?」「自分で起きれる?」ときくと
「ふ~ん・・・」などと言いながら、自分で横を向いて、手をついて
ゆっくり起きてこようとする。
その日の状態によって、肩にあてた手を背中・・・腰に下ろして、起きるのを
手伝うこともあるし、「すごいね~」「起きれるね~」と言って見てるだけの時もある。
すっかり起き上がると、私もベッドの横に立つ。
ベッドの高さを40cmぐらいに上げて、「じゃあトイレにいこっか」と言う。
「ん・・・?」が「ふん」になると、自分でこっちに体の向きを移動させ始める。
ベッドから、少しずつ離れながら、「こっちこっち~」「いくよ~」と
時には、手をたたきながら(父は、「犬とちゃう」と言うが・・・)母をその気にさせる。
上手く足を下して座れると、「さあっ立つよっ」「ハイッ」と声をかける。
手を差し出してくるときもあれば、自分でベッドを押さえて立ち上がるときもある。
立ちあがれたら「できたね~」「よかったね~」と一緒に言う。
日によって時間はちがうが、気長に、母のペースに合わせて、
見守ったり、手伝ったりしながら 一日が始まる。
父はやっぱりせっかちなので、私がこうやって立ち上がるとこまでつきあっていると
その間、なんやらかんやらの用事をし終えて、「さあトイレに行こか~」と
母の手をとりに来る。
(私が居ない時は、私のスピードかける3倍速ぐらいで、やっているよう)
(それでも、「気長に、ゆっくり様子をみるんやろ~」と、得意げに言う)
母がトイレに行っている間にシーツを直し、(防水シーツが濡れている時は、はずして)
ベッドを最大高さまで上げる。(電動ベッド「楽匠S」は、65cmまであがる)
部屋の窓も、部屋の境の襖もすっかり開けると、朝の風が気持ちよく吹き抜ける。
暴風雨の日以外は、必ず、風を吹き渡らせている。
仕事で、いろんなお家に伺うけれど、
この電動ベッドが上げられることなく、下が埃の温床になっているコトが非常に多い。
(前にも書いたけど、電動ベッドなのにコンセントが入っていない・・・ケースも多い。
要介護度が重い場合は、あらゆる介護の場面に応じて、介護者が高さや背上げの調節を
するので、しっかり活用もされているけれど、
比較的まだ軽度で、床からの立ち上がりが困難・・・という理由でベッドを
使用している場合は、コンセントが入っていなくて、ベッドの下が
えらいことになっている・・・ことが多々ある・・・)
えっと、そう、今はコンセントが・・・の話ではなくて、「風を通す」ということについて。
ベッドを上げて、風を通すことで、よどんだ空気を換えたいと思うので。
寝ている間中、紙おむつに溜ったオシッコのにおい・・・だけでなく、
なんというか、風を通すことで「根着く」→「寝つく」のを追い払おうというか・・・
そんな感じ。
もちろん、様々な事情で、ちょっとベッドを上げて・・・ということにかける労力やらが
大変な場合もあるだろう。
しかし、このスピードはなんてゆっくりな・・・と思っても
ベッドが床下20cmから65cmに上がるまで、1分もかからない。
ササッと掃除もしやすいし、なにより「風」が通るのである。
介護において、「風が通る」(しつこい・・・か・・)のは、
される側にもする側にも、とてもとても大切なコトだと思うのです。