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種を出す

坂部智子

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テーマ:母の介護

私は昔から、口が不器用(?)で、
梅干し、サクランボの種を出すのがとても苦手な子供だった。(今はできる)

ブドウなんて、種なしブドウしか食べられず、
夏休みに、祖母の家でいとこたちと遊んでいる時に、
大皿に盛った巨峰(?)が出てきたけど、
一粒口に入れてモゴモゴ格闘して、さあ次・・・と 見たら
もう軸しか残っていなかった・・・・という記憶あり。
(ちなみに いとこは全て年下。10歳下までいた・・・)

今でも、日常的によく口の中を噛むし・・・という話ではなくて、
母のコト。
これだけいろいろ出来ないことが増えているのに、
口の器用さというか、食べることに対する執着(?)というのは、すばらしい。

頂きモノのサクランボを、母には危ない・・・と思って 出していなかった。
(自分の不器用さを基準にして・・・・)
赤いモノが好きなので、こっそり私が横で食べていると、見つけて手を出してきた。
「・・・種あるで!」というと、「種ある~」という。

まあいいか・・・と思って、器に入れると、器用にお箸でつまんで口へ運ぶ。
しばらくモゴモゴしていたら、きれいにポイッと種を出した。
いつもの、縁の高い器(ファミリアの年代物)に、一粒ずつ入れてみる。
お箸で端っこに追い詰めて、うまいこと挟む。
吐き出す種も、実がきれ~いにこそげ落としてある。
「おいしい?」ときくと「おいしい」と言う。

調子にのって、次々入れていると、
あっ・・・今、“種”飲んだ・・・
まあいいか・・・
もう一個・・・あっ また飲んだ・・・
もう無理かな。

たくさん食べて、満足そうな笑顔。
まあいいか・・・

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