車いすで
久しぶりに、今日は父と母と車で出かけた。
満開の桜並木、山桜で斜面がピンク色の山並み
川べりの大木からは桜吹雪が風に舞っている・・・のを
車窓から眺めながらのドライブ。
「ほらほら見て~あそこきれ~」
「すごい~ まっピンク~」
いつものように、窓をあけて私が騒ぐ。
・・・が、母はまるで関心なし・・・
窓からの風に「寒い~」とは言うが・・・
目に入っているのか、見えているのか もうわからない。
あんなに桜が好きだったのに。
どんなことをしてでも、母に今年も満開の桜を見せたい、
一緒に見ようと思ったのだけれど・・・
寒い、暑い、眠い、痛い・・・など不快なことについては、はっきり今も瞬時に口にする。
熱い、冷たい、おいしい、まずい、苦い、辛い、甘い・・・など感覚的なこともかな。
うれしい、たのしい、かなしい などの感情は、言葉で伝えることはもうないけど、
今まで以上に、素直にストレートに表現される表情や態度で、とてもわかりやすく伝わる。
桜がキレイ
キレイかどうかは、人によって受け取り方は様々なので
その感動を同じように本当に共有できているのか・・・というのは、
もともと測りようがないけれど。
今日の母を見ていて、
もう この「キレイ」・・・というのは、届かないように感じた。
それでも、懲りずに、桜を見つけるたびに、車の中でひととおりにぎやかに騒いだ。
やけっぱちみたいに、
そうするのが、当たり前の自分の役割みたいに思うから。
そのうるさい車の中で、
母は、目を閉じて すぐに眠った。
寝顔がちょっと、笑っているみたいで、
ほんの少し、気持ちが和んだ。
花より・・・何かな・・・