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「性格」のちがいで

坂部智子

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テーマ:仕事のはなし

仕事で毎日たくさんの方と出会う。
介護を受けている人、介護をしている人、関わる様々なスタッフ・・・

これまでに何度も、「介護に正解は無い」ということを伝えているが、
「正解」は無くても、その人に「向く(合う)」か「向かないか(合わないか)」の
違いは、「性格」によると思っている。(←持論)
もちろん、症状や状況、環境、経てきた年数など、周辺にからまる要素もいろいろあるけれど。

「性格」=先天的な気質と後天的な影響とによる、その人の感情・意志などの傾向
(岩波国語辞典による)


Aさん(70代男性、要介護3)
頸椎損傷により手足に後遺症がある。
事故から2年。
強固な意志で、自分に課したリハビリを着実にこなし、
自力歩行、両手が肩少し上まで上がるように回復している。
医者からは「奇跡」と言われたそうだ。

Aさんが掲げたのは、
・今まで(けがする前)にしていたようにできるようになる。
・右、左どちらも同じようにできるようになる。
だそう。
そう決めて、そうやり続けてこれたAさんは、自分の性格をよく知っているのだと思う。

私が、寝たきりだった時、
はっきりと認識していたわけではないが、Aさんと対比して、今あえて言葉にすると
・今の状態で、できるようにする(要は、方法、形はどうでも、できさえすればよい)
・右でも左でも、できるほうをまずやる
だったと言える。

Aさんに、私の話をすると、「ほ~なるほど」とはおっしゃるが、
それでは満足しない、なんか横着に、ズルしているように感じる・・・というのが正直なよう。

逆に私も、もしAさんのように取り組まなければいけなかったら、
とても気力が持たなかっただろう・・・と思える。
(今まで出会った方々は、Aさんタイプのほうが圧倒的に多い・・・不思議だ・・・)

お互い、自分で自分をわかってて、
いらんことを人から押し付けられんで、ホンマによかったですね~と、一緒に大笑い。

Aさんのリハビリはまだまだ続く。
横着でズルしたみたい・・・な方法がAさんの役には立たないけど、
それでも、「そんなんもあり」という情報は、
ある意味なんかで役に立つこともあるかもしれない。

関わる側が、幅広く柔軟で臨機応変に、いろんな“手”を示せることはとても重要だと思う。

目の前の人に、きちんと向き合うこと。
自分尺度ではなく、その人に向く(合う)道を、一緒に見つけられたら
“介護”そのものも、もっともっと馴染むものになる気がしている。

今の世の中に、
自分の人生に。

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