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いろんなヒトが いろんなコトを

坂部智子

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テーマ:仕事のはなし

先日訪問したAさん(80歳女性 要介護3)
室内移動用にレンタルされている、固定型の歩行器は、みるからに高さが高い。
身長152cmほど・・・で、歩行器の高さは80cm。

「歩行器の高さ、どうですか?」ときいた。
(ここで、「高すぎますね」・・・とは言わない。どうかを尋ねる。)
「高いかはわからんけど、(持ち上げて移動するので)肩が痛い、しんんどい」・・・とおっしゃる。

「肘を曲げて肩が上がった状態で歩行器を持っているので
そこからさらに持ち上げるのは、やりにくいでしょうね・・・」と言うと、
横にいたご家族が、
「いろんな人が、いろんなことを言うから 何がいいんかわからへん」とおっしゃった。

詳しくきくと、
もともとの歩行器の高さは74cmぐらいだったそう。
最初はそうでもなかったが、だんだんと前かがみで歩くようになった。
訪問リハのヒトが「姿勢よく歩くため」と、歩行器の高さを上げた・・・とのこと。

そうか・・・・
もちろん、週に1度の1時間ほどの間、横についてもらって、
ゆっくりしっかり正しい歩行姿勢で歩くには、高くてもいいかと思う。

けれど、日に何回も、しかも日中独居なので 一人で
ベッドから8mほどあるトイレまで往復する間、ずっとその正しい姿勢が保てるか・・・
というと、実際むつかしい。
8m先のトイレに行くのに、15分はかかるそう。
持ち上げては、足を運び、また持ち上げては足を運び・・・を何十回と繰り返す。
そら、肩も痛くなるし、しんどいわ・・・・と思った・・・・

“正しい”歩行姿勢の確保か、少しでも“安楽”な日常動作の確保か・・・

いろんなヒトがいろんなコトを言う・・・・というのは、
本来、あってはいけないこと。
福祉用具導入の際、しっかりとその使用目的を、すべての関係者が共有して
サポートすることが あるべきかたち。
それができていないのが、現実。

来年の介護保険の見直しで、
福祉用具導入にあたって「個別援助計画書」の作成が義務化する方向・・・とのこと。
きちんと、“目的”が文書化されて、共有認識として位置づけられたら、
もしも、いろんなヒトがいろんなコトを言い出しても、
「これこれこういう目的での導入ですので うんぬん・・・」と
しっかり、ぶれずに通すことができる。

そのための基盤を、今からしっかり作っておかなければ。

Aさんには、何を優先するかのちがい、を伝えた。
高くすると姿勢がよくなる。
下げると、持ち上げるのが楽。
そう伝えただけで、Aさん自身が選択もできるし、使い分けができる。

一番大切なのは、
コミュニケーションであると 思われる。

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