なじんだきゅうりの味
正確には「sewing machine」であるらしいが、
子供の頃の記憶で、私が“最初に覚えた外来語”は、おそらく
「ミシン」か「ビール」だ。(我が家の日常で登場度合いが最も高かった語)
念願のミシンを買いました。
(例のコープさんの“メーム”に載っていた65%OFFに魅かれ申し込んだら
無事抽選に当たり先日届いた。父の“パン焼き機”を笑えない・・・・)
母がトイレで敷きこんで座ってしまう服の裾上げや、
山ほどあるもらいモノ(引き出物も多々)のバスタオルの活用や
手縫いが面倒でほったらかしていた、くたびれたものの修繕など
これで、いろんなものが片付くはず。
昨日、横で母をかまいながら ようやく箱から出した。
軽くて、コンパクトで、「おそい・・はやい」などの日本語が
本体のボタンの横にちゃんと書いてあって、
さぁさぁどうぞお使いなさい・・・と言わんばかりの感じだけれど
実は、昔からミシンとの相性はよくない。
むかし昔の足踏みミシンが、まだ一番馴染んだ。
(スピードが自分で調整できるから。スペシャルなのろのろでも、針は進む)
次に家にやってきた電動ミシンには、本当に泣かされた。
(いや、恐らく泣いたのはミシンの方・・・)
何本針を折ったか。
どれだけの糸を絡ませたか。
下糸がボビンをも飲み込んで、巨大なぐるぐる巻の塊になっていた・・・・
母が根気強く、少しずつほぐして・・・・ようやく使えるようになって、
またしばらくすると、ガガガグッと異音がして、ミシンが止まる・・・
↑中学の家庭科の課題を家でやっていた時の情景
学校でミシンを踏んだ記憶はない。速いもの順やし、人数分のミシンは無いので
遅い子(私)は、持って帰って家でするしかなかった。
(同じく、“遅い”友達を家に連れて帰るので、私が使えるのは必ず夜遅くなってから)
眠いし、めんどくさくなってくるし、
ちょっと油断すると糸がこんがらがって、母を呼ぶ・・・ というはなはだ情けない記憶。
(その昔のミシンは もうない)
今こうして書いていて、
なんでミシンをまた買ったんやろう・・・と 少々恐ろしくなってきた。
説明書を開いて、おそるおそる、一つずつさわってみた。
へぇ~
ボビンが透明のプラスチック。
上部のカバーも透明のプラスチック。
(なんかすぐ割ってしまいそう・・・・)
あれだけ絡めても、びくともしなかった、
愚鈍(失礼)かつ頑丈だったミシンが恋しい・・・・
すっきりと身軽く、「さぁさぁ~」とあおるミシンを、結局すぐ仕舞った。
横の母に、「DVD(ついていた)を見てからね~」と笑ってごまかす。
この躊躇の一番の原因は、
針を折ったって、どんなに糸を絡めさせたって、
魔法のように直してくれた母の手がもうないことだと、
本当はわかっている。
最初は、雑巾からやな。