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においと香り

坂部智子

坂部智子

テーマ:母の介護


介護の現場で、気になりだすと どうにも気になるのが
におい・・・です。

最近の私の鼻は、いわゆる便臭というヤツに かなり敏感になっています。
家の玄関を入ってすぐの「におい」。
トイレの中で・・・くんくん
母のそばで・・・くんくん・・・
(小さい子供ではないので、)
簡単にパンツをおろして確認することは できない。
「におい」で、どれぐらいの量があるか どれぐらいの時間が立っているか、
少し予想できるようになってきた。

そのためには、自然に「におう」ことが とても大事になる。
けれど、食事の場所や、母が先に眠っている部屋へ後から寝に入る時とか、
人が来る時とかは、やはり 快適な香りの空間であることが望ましく思う。

ひそかに アロマを焚く。
足元灯の小さなアロマランプに 2・3滴のアロマオイルをたらして。
・・・いい香り。
(けど、そのために「におい」のサインを見逃して、結局 余分の労力がいることにもなる)
「におい」は目では見えないからなあ~


どちらかというと、我が家は、無臭、無香料好みの家でした。
母がめったなことではお化粧をしないので、
昔から 女の人のお化粧のにおいは 大苦手でした。

人工的な香りのない環境だったので、
庭の花や、生き物のにおい、季節の香りなどに 普通に親しんでこれた。

これは 今も同じ。
石鹸も 基礎化粧品でも 香りのあるのは 基本的に苦手。 


最近、友達が“名私香”という、「名刺入れに忍ばせて ほのかな香りを名刺につける・・・」というのを 贈ってくれた。
「ろうずの香り」・・・とある。今までの自分と 対局にある香り・・・
(京都の『香十』という老舗のお土産)

そっと 封を開けてみた。
やわらかい ほのかな香り。
名刺入れに はさんでみる気になった。

いつも 私が自分では 絶対に取り入れないだろう コトやモノを
さりげなく 差し出してくれる。
え~~~と、照れながら 多少抵抗を試みるけれど
いつも そうして開けてくれる扉が 新鮮で、
少しの冒険を やってみようかなと思えて
そうしたLadyな要素を ちょっと取り込みつつある。
(たいそうな話のようですが、普通は女の子たちが10代で手にしているものがほとんど
というレベル・・・)

現実的なにおいと 日々格闘する中で、
とても素敵な 香りの プレゼントでした。


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