これからの日本のものづくりを支えるには~シニア技術者の皆様へ~
こんにちは。「専門家を使う専門家」のコラムの翻訳者、えりかです。
今回のコラムでは、“技術の伝承をどうやって行うか”についてのお話です。
このコラムの大きなポイントは、“技術の偏食をなくす”ということです。
そこで、教える側と教わる側両者への対応方法、を考えることが重要です。
さて、専門家を使う専門家の話が始まります。
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最近、若手の技術者教育についてのご相談を受けることが多くなりました。
技術部門の責任者の方からのお悩みとして、
「若手は3DCADは難なく使いこなせるが、モノの作り方がわかっていないので現場で実際にモノづくりを行うと不具合、混乱が生じている。3DCADで絵にするのと一体でモノの作り方の知識がいる。これをどうしたらよいか」等のご相談を頂いています。
皆さん言われますのは、
「時間があれば昔のようにOJTで教えられたが・・・。」
「1年間は自社で教育をしたが、業務の間でやるのは大変だった。」
等の困りごとをお聞かせいただいています。
しかし、「技術教育はやって行かねばならない。」ことは一致したご意見です。その大きな目的は「技術を伝承させること。」です。
しかし、自社ではなかなか難しいのであれば、外部のセミナーや外部コンサルタントの活用も考えられていますが、その失敗例については過去のコラムでお話しました。
「固有技術」と「管理技術」を間違えてコンサルタントを選んだ例
https://mbp-japan.com/hyogo/takarada/column/5089740/
技術の伝承よりも技術の移植
https://mbp-japan.com/hyogo/takarada/column/5102666/
をご覧ください。
また、これまでは自社のモノづくりにとって必要な技術だけでよかったのですが、最近はその周辺の技術も含めて「自社技術化」していかないと顧客の要求には応えられません。
例えば良い例としては、モーター単体技術から、それを動かす動力、伝達機構の技術、そして制御する技術を組み合わせることによって、顧客にとって手間のかからないユニットとして納入している会社があります。顧客を維持し続けるには、自社の技術の拡大が必要になってきています。
さて、本題に戻ります。「技術の伝承をどのように行うか」ですが、
まず大事なことは「技術の偏食」がないかです。偏食とは食べ物の世界だけではありません。現代はインターネットで誰もが手早く情報を取得できますが、インターネットは便利な反面、自分の興味がある情報ばかりに触れ続けることが多く、「情報の偏食」が起こっています。
つまり偏ったモノの見方、考え方に陥ってしまいがちです。情報の世界も食事のように「健康な摂取の在り方」が求められます。
技術の世界も全く同じです。自分が興味のある、あるいは経験した技術だけでは非常に偏った技術者になってしまいます。
多様な視点、広い視座を持った技術者への資質強化をするためには、技術者毎にある特定の得意な技術に偏っていないかを自己認識していただく仕掛けが必要です。これをやらないで単に今の技術者からヒアリングして技術をあぶりだして整理してまとめる方法を取っただけでは「技術の偏食」として歪なものができてしまいます。
会社として、技術を教えてもらう側はもとより、まずその技術を教える側について「技術の偏食」がないかを見ていくことが重要です。つまり教える側に対する教育です。
最初に管理者に対して、若手に技術を教える側として「モノづくりに必要な技術を含めたマネジメント教育」を学びなおしていただきます。ここで「技術の偏食」について有る無しを実体験していただきます。
一方で若手には技術の偏食をさせない「健康な技術摂取の教育カリキュラム」を提供します。機械工学、電気工学から基礎課程そして応用課程として順に学びます。
また、刺激として「技術課題解決・実践型トレーニング」という実務面での課題解決を自ら実践する場で、それまでに得た「知識としての技術」を実際の課題の解決に使ってみることにより、初めて知識が自分の知恵になることを体験させます。
この実践活動で「固有技術の意味とその使い方である管理技術」も実体験できます。
さて具体的な「技術の伝承をどのように行うか」、そして「偏食の無い技術者教育」の詳細の方法については、技神にご登場いただきます。
以下、技神顧問のコメントです。
技術(技)は、移り変わる社会の要求に応える為、常に変化・進展する。
デジタル化、CNC工作機械、リニアモーター駆動、流体・磁気軸受け、リモートメンテナンス・・・・・
現時点での技術(技)を、単に伝承しても、進化への対応が困難。
陳腐化している訳では無いが、Exp:キサゲ、倣いカム制御、溶接、磨き、・・・・
時代時代の最前線で有効な技術(技)を醸成できる力・考え方を養う。
モノづくりの目指すものの動議付け、技術の基礎・理論、現象の見える化、DX・・・・
これらを踏まえて、実務経験を積み重ね、技術(技)力を高め、技術進化に対応出来る力を養う。
技術の伝承と技術 (技)の移植の違い
技術の伝承とは、現在の社員よりヒアリングし、本人も気づいていなかった潜在化して
いた技術をあぶりだして文書化しまとめる方法である。しかし、出来上がったものはそ
の時点で既に「古文書」になりやすい。
「このようなやり方をしています。」を機能表現で表しても、何故、そういうやり方になるのかについて理屈で理解しないと更に高みのある技術に進化できない。結果として廃れてしまう。
技術(技)の移植とは、過去にはこの人に聞けばわかると言う人がいたが、今は居なくなってしまった場合、その失われた技術を移植することにより、技術を守り、品質を守り、ひいては顧客を守ることになる。
たとえば「昔はレシピを書いた人がいたが、今はいないので、何か変化点を起こすと無茶苦茶になってしまうので怖くて変えられない。」のでは大変な問題を起こすことになる。
技術そのものを管理技術で扱うことは無理であり、単に知識としてその技術を知って
いるだけは伝承できない。技術は使ってみて初めて知恵になる。このように技術を経験した人が教えることに意義があり、人は育つ。
この違いを認識し、目的を明確にしてアプローチを誤らないようにしないと、技術の停滞・遅延に陥る恐れがあります。
如何でしょうか。
今回は、技術の伝承をどのように行うか ―偏食の無い技術者教育―
について述べました。
詳しい説明につきましては動画で配信させて頂きますので、ご希望者の方は下記までご連絡ください。限定配信でお送りいたします。ご希望の視聴日時と時間をご連絡ください。
尚、具体的な技術の伝承方法については、後日、別コラムで述べていきたいと思います。
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