弱みを克服するのは意味がない?『強みを活かす』新時代の人材戦略
・「部下のやる気がなかなか上がらない…」
・「何を言っても反応が薄い…」
と悩む経営者や管理職の方は多いのではないでしょうか?
これまでの「報酬や評価を上げればモチベーションが上がる」
という考え方は、すでに時代遅れかもしれません。
注目すべきは、内的動機づけ(自分の内側から湧き出るやる気)です。
今回は、心理学者エドワード・デシの「3つの要素」や
有名なソマパズルの実験をもとに、
部下のモチベーションを高める本当の方法を解説します。
1、部下のモチベーションは「お金」だけでは上がらない理由
・「給料を上げたら、もっと頑張るだろう」
・「インセンティブをつければ、もっと働くはずだ」
・「高い評価してるから、それ以上の仕事をするはずだ」
こう考えている経営者や管理職の方は多いかもしれません。
確かに、「お金や評価」などの外的な報酬は、
短期的には効果があるとされています。
ですが、長期的にはこの方法は限界があります。
ソマパズルの実験が示す真実
心理学者のエドワード・デシが行った「ソマパズルの実験」は、
外的な要因はモチベーションを上げる理由にならない可能性が
あることを示唆した有名な実験です。
【実験の内容】
1. 参加者に「ソマパズル」という知的なパズルを解かせます。
2. あるグループには「1問解くごとに報酬(お金)を渡す」とし、
もう一つのグループには「お金は渡さない」としました。
3. 休憩中、参加者が自発的にパズルを解き続けるかどうかを観察しました。
【実験の結果】
報酬を受け取ったグループは、休憩中にパズルを解かなくなりました。
一方、報酬がなかったグループは、休憩中もパズルを自発的に解き続けました。
【なぜ?】
報酬が与えられると、人は「報酬のためにやっている」と認識するため、
内的なやる気(楽しいからやる)が失われてしまうのです。
なぜ「お金」ではモチなぜ「お金」ではモチベーションが持続しないのか?ベーションが持続しないのか?
[お金がなければやらない状態」に陥る
→ 報酬が条件になると、「報酬がないとやらない」という行動パターンが生まれてしまいます。
外的動機づけはすぐに効果が切れる
→ お金やインセンティブは短期的には効果がありますが、
すぐに慣れてしまい、「もっと欲しい」となるため、持続力がありません。
私が勤めていた以前の業界では、
成果主義がある時期が導入され、こんな会話が頻繁に繰り返されました。
部署を超えて、イベントを企画している時
私:〇〇のイベントの△△をお願いできますか?
他部署Aさん:ごめんなさい、そのイベントはそちらの部署が主催だから
こちらは残業代がでないですよね。
そちらの部署で何とかしてください。
以前はこんな会社ではなかったのに、
いつからこうなってしまったのか?
と思い出すと、
成果主義を導入して、個人の結果を重視するようになってから
人と協力する文化がなくなったなーと感じています。
(本当に残念です、、、涙)
お金や評価では部下のモチベーションは上がらないとなると
では、部下のやる気を持続的に高めるにはどうすればいいのか?
2、部下のモチベーションを高める“3つのカギ”
エドワード・デシが提唱した
「内的動機づけの3つの要素」に注目しましょう。
これらの要素を職場に取り入れることで、
部下の「自ら動きたくなるやる気」を引き出すことができます。
1. 自律性(Autonomy)
「自分で決めて動いている」という感覚を持たせるのがポイントです。
なぜ大事なのか?
人は誰しも「自分の意思で動いている」と感じたときに、やる気が高まります。
反対に、「やらされている感」が強いと、
モチベーションは大きく低下します。
どうやって実現する?
・部下に「選択肢」を与える(やり方や順序を選ばせる)
・仕事の進め方を上司が指示するのではなく、部下に考えさせる
・「これをやりなさい」ではなく、「どうしたい?」と質問する
2. 有能感(Competence)
「自分はできる」と感じさせることがモチベーションの源です。
なぜ大事なのか?
人は、「自分は成長している」と感じるときに最もやる気が高まります。
小さな成功体験の積み重ねが、やる気を引き出すカギです。
どうやって実現する?
・「成長している実感」を持たせる(できたことをしっかりフィードバック)
・目標を「少し頑張れば達成できるレベル」に設定し、成功体験を積ませる
・「よくやった!」と声をかけるなど、小さな達成を見逃さない
3. 関係性(Relatedness)
「自分はここにいていい」と感じる職場をつくるのがポイントです。
なぜ大事なのか?
人は、「自分はこのチームに必要な存在だ」と感じるときにやる気が高まります。
孤独感を感じると、モチベーションが低下します。
どうやって実現する?
・雑談の時間を増やす(テレワーク中は雑談の場が減りやすい)
・チームで成果を共有する場を作る(「〇〇さんがこれを達成しました!」など)
・上司が部下の“人間的な一面”を知る(プライベートな話題にも触れる)
3、まとめ:お金ではなく、部下の「内なるやる気」を引き出せ
「お金を増やせばやる気が上がる」
という考えは、すでに古い方法です。
これからの時代に必要なのは、「内的動機づけを高める」方法です。
・自律性(自分で考えて行動できる環境をつくる)
・有能感(成長の実感を得られる機会をつくる)
・関係性(チームのつながりを感じられる場をつくる)
これらの要素を組織に取り入れることで、
部下は“自ら動きたくなる”状態に変わります。
あなたの職場でも、報酬だけに頼らず、
内的なやる気を引き出す仕組みをつくってみませんか?
部下が変われば、チームが変わります。
そのための第一歩は、「モチベーションの本質を理解する」ことです。
今こそ、部下のやる気を引き出す「3つのカギ」を職場に取り入れましょう!