休眠会社等の整理作業(株式会社、一般社団法人又は一般財団法人のみなし解散)
これまで数多くの不動産に関するご相談をお受けしましたが、スムーズに解決ができないケースがございます。
今回は、問題となりやすい2つのケースをご紹介いたします。
ケース1 不動産の共有
まず、「共有」とは、どういう状態かを説明いたします。
たとえば、一つの土地をAさん持分2分の1、Bさん持分2分の1、と持ち合っている状態です。
夫婦間、親子間、兄弟姉妹間、第三者との間など、共有の形態や共有に至った経緯も様々です。
不動産を共有していた場合、将来、処分(売却、担保提供など)や変更を加えるには、共有者全員の同意が必要となります。
一人でも反対者がいれば、実行できなくなります。
また、下記ケース2と共通しますが、共有者の一部に相続が発生したことにより、誰が共有者なのか一見して分からなくなるケースもあり、何らかの問題が発生したときに対処ができなくなることも考えられます。
共有状態を解消する方法として、共有者間で共有持分を売買する又は贈与するなどの方法が考えられます。
裁判所を利用して解決を図ることもできます。
しかし、どの方法を選択するにしても、解決のために時間やコストがかかります。
共有状態にならないように努めること、
既に共有である場合には、なるべく早めに解消すること、
が大事です。
ケース2 相続登記を放置
相続登記は、現状、義務ではありません。
「相続登記をしないでも良い(問題にならない)」とアドバイスを受けることがあるようです。
確かに、相続登記をしなかったとしても、固定資産税をきちんと納め、その不動産をきちんと管理している限り、表面上は何の支障もないでしょう。
その結果、何年、何十年と、相続登記を放置されることがあります。
相続登記を放置している状態で、さらに相続(数次相続)が発生しているケースもあります。
その結果、相続人の数が増えていき、まったく存在も知らなかった親族が現れることがあります。
この場合、戸籍を集めるだけでも数か月を要する場合もあり、さらに遺産を誰が承継するかなどの調整を含めると、解決に至るまで年単位の時間を要する場合もあります。
また、適宜の時期に、きちんと手続をした場合と比べて、費用も高くなる傾向にあります。
なお、現在、相続登記の義務化に向けて議論がされています。
義務化された場合には登記を放置したことにより過料を支払わないといけない可能性もあります。
思いあたる方は、今のうちに相続登記を進められることをお勧めいたします。
ご参考;相続登記義務化への動き
まとめ
これまでご相談をお伺いした中で、ケース1とケース2の合わせ技もありました。
上記のような問題を抱えた不動産は、場合によっては負の財産となることもあり得ます。
早く対処していれば、もっと早く解決ができ、コストも低く抑えられたのに、と思うことも多々あります。
何も問題が発生していないから大丈夫と思われるかもしれません。
しかし、適切な資産管理、円満な資産承継ができるように、何も起こっていない時こそ、解決に向けて動かれるほうが良いでしょう。
思い当たるところがある方は、是非、一度ご相談ください。