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手軽な相続対策 『資産リスト』の作成

2020年2月19日 公開 / 2021年10月5日更新

テーマ:相続対策

コラムカテゴリ:お金・保険

コラムキーワード: 相続対策相続問題遺言書 作成

相続のご相談をお受けするにあたり、よくお伺いする問題の一つに次のようなものがあります。

「遺産がどこにあるか分からない」
「遺産をどうやって探したら良いか分からない」


たとえば、親元を離れて生活されている場合や、第三順位の相続(兄弟姉妹が相続人となるケース)の場合などのように、被相続人と相続人が別居していると遺産に関する情報がない、というケースが発生します。

相続開始後、相続人の立場であれば、遺産の調査をすることは可能です。
当事務所でも、これまで数多くのご依頼をいただき、ノウハウを蓄積してきました。

しかし、残念ながら、完璧に調査をすることは困難です。
もしかしたら、不可能かもしれません。


その対策として、有効な手段の一つが『資産リスト』の作成です。

前回のコラムで、財産を残される方(将来の相続人)の立場から、資産リストの有用性について記載しました。
今回は、財産を残す側(被相続人)の立場から、資産リストの作成する上での注意点について記載します。


家と資産 資産形成


資産リストを作成する上での注意点


資産リスト自体は、決まった書式などありません。
遺言ではありませんので、法律で作成方法を指示されているわけではありません。

ご自身の資産内容を、(推定)相続人の方が分かるように作っていただければ、問題ありません。
しかし、作成される上で、注意しておいていただいたほうが良いことがございます。


1.紙にして残す。


パソコンやスマートフォンの普及により、デジタルのデータを簡単に作成することができます。
しかし、相続人の方が暗証番号を知らないなどの理由からせっかく作ったにも関わらず、見てもらえなかった、というケースも考えられます。
デジタル化の流れに逆行しますが、相続人に確実に伝わることを意識されることが重要です。


2.預貯金


例えば、「○○銀行A支店 普通 1234567 ○○円」となるべく正確に記載するほうが好ましいですが、単に「○○銀行」だけでも相続人にとっては助かります。
通帳やキャッシュカードの銀行名等を記載した部分をコピーして残す方法もあります。
なお、残高については、作成時から変動することが当然見込まれますので、作成時のもので構いません。


3.株や投資信託などの有価証券


(1)上場している株式など証券会社等に預けている場合
証券会社等に預けられている場合は、年に4回は定期的に報告書が届きます。
直近に届いた証券会社等作成の報告書を活用すれば良いでしょう。

(2)非上場の会社の株式
会社名・本店(会社の住所)・保有している株式数など、詳しく記載しましょう。
その会社の登記簿謄本、株主名簿、株式引受書等の証拠書類があれば、なお良いでしょう。
株主の情報は公開されていません。
残念ながら、ほとんどの中小企業では株主に対して、株主総会の招集通知を送付されることもあまりないようです。
仮に株主総会の招集通知をきちんと送付している会社であったとしても、特別な議案がない限り、株主総会の開催は年に1回なので、相続人が早期に情報を入手できない可能性があります。
株主の住所が変更していて、会社が株主宛の書類を送付しようとしても届かないため、そのままになっていることも考えられます。


4.債権(貸したお金、売掛金など)


貸金は、貸した相手、いつ貸したのか、貸した金額、返済日などを詳しく記載しましょう。
分割で返済を受けている場合は、返済の履歴を残しておくと良いでしょう。
なお、借用書などの証拠書類ともに保管しておくほうが良いでしょう。

個人で商売をされてる方で売掛金がある場合は、日々変動すると思われます。
帳簿を残されていると思いますので、この時点の資産リストにはなくても差し支えないと思います。


5.負債(住宅ローン、借りたお金など)


借りた相手、借りた日、支払時期、借りた金額、借りた理由など、なるべく詳しく書きましょう。
(できれば、契約書や覚書などの証拠書類も残しておいてください。)
分割で返済している場合は、作成時点の残高も記載しましょう。

プラスの財産より、マイナスの財産(負債)が多い場合、相続人としては相続放棄を検討しなければなりません。
相続放棄は、相続開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所に対して申述しなければなりません。
期間内であっても、知らずに遺産を使うなど処分をしてしまうと、相続放棄ができなります。
相続人の方が、そのような事態に陥らないためにも、詳しく残されることをお勧めします。


6.保証人又は連帯保証人になっている場合


上記5の負債同様に、詳しく記載されることをお勧めいたします。
むしろ、上記5の負債より記録しておくことは重要かもしれません。
保証人又は連帯保証人になっている場合、主たる債務者の方がきちんと返済されている間は、債権者から取立てられることはないでしょう。
そのため、忘れてしまっていることもあるかもしれません。
保証人又は連帯保証人になっているかどうかは、債権者から取り立てられるか、証拠書類でもないと、当事者以外は知りようがありません。
その結果、相続人は予期せず借金を背負うことも考えられます。


上記の内容は少し細かいかもしれません。
状況に応じて、簡易版で作成されるだけでも、相続人の方は格段に楽になります。
たとえ簡易版であっても、負債・保証人等の不利益な部分は、しっかり記載されることをお勧めします

資産リストを作成し、将来のご自身とご家族のために備えていただければと思います。


染田司法書士事務所 https://www.bespoke-office.net/

ライフプランニング4

この記事を書いたプロ

染田直樹

遺言・相続と事業承継のプロ

染田直樹(染田司法書士事務所)

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