注文住宅の住宅設備【ホームエレベーター】実際につけてみた

浅井知彦

浅井知彦

テーマ:住宅

このコラムでは、実際に注文住宅を設計をしている立場から、
私が設計した家でよく使われた住宅設備
住んでいる人からの評価が高い住宅設備
を、なるべく公平な視点で紹介していきたいと思います。

住宅設備について取り付けるかどうか迷っている方は、是非参考にしていただきたいと思います。


今回はホームエレベーターについてです。

ホームエレベーター
写真は三菱日立ホームエレベーターの製品です。
この写真の商品は住宅で使ったことがあります。


ホームエレベーター付けている家はどれくらいある?

2023年度のホームエレベーターの新設台数は五千台くらいだそうです。
同じく2023年度の新築一戸建ての着工件数(賃貸を除く)は53万軒くらいですから、設置率は高くありません。

私が設計を担当した注文住宅では、設置率は2割くらいでしょうか。
こちらもそれほど高くありませんね。

ただホームエレベーターの設置数は年々上がってきていますし、今後の高齢化社会を考えても、充分検討に値する住宅設備だと思います。

淡路ホームエレベーター

費用はどれくらいかかる?

ホームエレベーターについて、一番気になるのは設置費用ではないでしょうか。
ホームエレベーターの購入、設置費用についてはメーカー、機種によって違いますので一概には言えませんが、ざっくりというと、
小型普通車1台分くらい
だと考えて頂ければ良いと思います。

新築と同時に車を購入するという方も多いようですので「新築時に車を買った」と思えば納得しやすいかもしれません。

自動車と比べたときのホームエレベーターの利点は税金などの維持費用がかからないことでしょうか。
ホームエレベーターには法定定期点検の義務がありませんので、極端なことを言えば維持するのに費用はまったくかからないことになります。

・・・とはいっても安全に使って貰うべき設備ですので、ほとんどの家庭ではメーカーの用意する「メンテナンスプラン」に入っているようです。
「メンテナンスプラン」はメーカーや保守内容によっても変わりますが、月額数千円のものが多いようです。

メンテナンス費用を入れても、維持費に関しては車より安いでしょう。

こういう家におすすめしたい

ホームエレベーターの設置を検討して貰いたい家ですが、まず3階建の家でしょうか。
ホームエレベータ自体は2階建でも3階建でも(4階建でも)使えますが、やはり利便性を実感するのは3階建以上でしょう。

家の構造としては、剛性の高い鉄筋コンクリートあるいは重量鉄骨をおすすめします。
これらの構造であれば特別な補強を行わなくても、ホームエレベーターが取り付けられると思います。

芦屋ホームエレベーター
ホームエレベーターがある前提で家の設計を考えるのであれば、間取りについては家の上下方向を自由に考えていくべきでしょう。

たとえば、
3階:リビング、風呂  2階:主寝室、個室  1階:予備室
のような上下を逆転したような間取り設計も良いかもしれません。

上層階のリビングは陽当たりが良く開放感があって、快適に過ごせます。

エレベーターは人を乗せるだけでなく重い荷物を持って上がるときも便利なので、ダイニングキッチンが上層階にあってもあまり不便は感じないと思います。

こういう人におすすめしたい

ホームエレベーターというと、まず高齢者、車椅子利用者がいる家庭を考える人が多いと思います。
家族の中に階段の上り下りに不安がある人がいれば、ホームエレベーターの利便性を直接感じて貰えるでしょう。

ホームエレベーターを「高齢者、身体が不自由な人向きのもの」と言ってしまうと特殊な住宅設備のように思うかもしれません。

しかし、いずれはみんな高齢者になるのです。

そういう意味では、ホームエレベーターは、これから避けられない高齢化社会では誰にとっても便利な設備になっていくのではないかと思います。


もうひとつ、別の使い方として来客の多い家にもホームエレベーターをおすすめしたいと思います。

頻繁な来客のある家では、間取りによって家族の生活空間にまで来客の動線が入ってしまうということがあります。

親しい間柄であっても、プライベートな空間まで来客の視界に入るというのは避けたいと思う人が多いでしょう。

ホームエレベーターを上手く使えば、来客に対してエントランス → エレベーター → 目的の部屋と移動して貰うことが可能です。

家の中を歩く距離を最小限にして来客と家族の動線をはっきり分けるためにも、ホームエレベーターは便利に使えます。

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Mybestpro Members

浅井知彦
専門家

浅井知彦(一級建築士、コンクリート診断士、マンション管理士)

レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所

素材メーカーで研究してきた技術者としての経験を生かし、鉄筋コンクリート造の住宅を提案。快適な住空間に仕上げるため、デザインありきではなく機能性重視の家づくりを行っています。

浅井知彦プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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