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コンクリート打ちっ放し住宅に14年住みました【2】

浅井知彦

浅井知彦

テーマ:鉄筋コンクリート住宅

今回は、鉄筋コンクリート住宅について、実際に14年住んだ結果・・・その2です。

前回は、打ちっ放し仕上げの外壁について書きました。

◇コンクリート打ちっ放し住宅に14年住みました【1】

今回は、家の内部、実際の住み心地について書いていきたいと思います。


コンクリート住宅のメリット、デメリットについて


鉄筋コンクリート住宅についての情報を調べると、よく書かれている特徴として、

【メリット】
遮音性・気密性が高い
耐震性に優れている
耐火性に優れている

【デメリット】
湿気が多い、カビが発生しやすい
外気の影響を受けやすい(冬寒い、夏暑い)
建築費用が高い

などが挙げられています。

「建築費用が高い」については、設計や価値観の問題なので、今回は言及しないことにします。

この中に挙げられている「デメリット」について、14年住んだ体験から、実感していることを書いていきます。


◇湿気が多い、カビが発生しやすい

住んでいる実感として、湿気が多いとは感じません。

メリットのところにある「気密性が高い」は実際に住んでみると実感できます。

壁式鉄筋コンクリート住宅は家全体を一体化してコンクリートで囲んでいるので、気密性は非常に高くなっています。

昔の家などと違って隙間風などはありませんので、もし室内で大量の湿気が出るようなことをすれば、カビが発生するのかもしれません。

しかし、居室には換気設備がありますし、窓を開けることもあります。

少なくとも我が家では湿気が多いとか、カビに悩まされたということは全くありません。

ちなみに、断熱性も高いので、結露も殆どありません。


◇外気の影響を受けやすい(冬寒い、夏暑い)

全く感じません。

気密性が高く、壁全面に断熱材が入れられるため、室温に関する外気の影響は非常に小さくなっています。

真冬でも天井高3.5mのリビングは、床暖房だけでほとんど凌げます。

真冬の個室では暖房を入れることもありますが、少しの時間入れると暑くなりすぎるので、長時間暖房を使うことはほぼありません。

夏も涼しいですね。

真夏、家に帰って玄関ドアを開けると、玄関の吹き抜けがひんやりしているのがわかります。

流石に真夏はエアコンを入れることもありますが、気密性が高いので、非常によく効きます。


外気温の影響を受けないのは、屋上緑化を行っていることによる効果もあるのかもしれません。

◇屋上緑化、屋上庭園。実際に5年住んでみました。


・・・ともかく断熱性、気密性が高いので、外気温に左右されない家になっています。

冷暖房が全く不要、とはいきませんが、冷房、暖房ともによく効きます。


その他の鉄筋コンクリート住宅のメリット、デメリットについて


◇間取り変更に向かないのではないかという疑問

コンクリート住宅についてのデメリットとして挙げられているものの中に
 「内装の増改築に向かない」「木造のように増築できない」
などの指摘があります。

確かにコンクリートで作られた壁については、内装工事でいじることはできません。

しかし、それ以外の部分、間仕切り壁などについては、ほかの構造と一緒で、自由に改装工事ができます。

RC住宅内装
コンクリート住宅で壁を作った例です。

現代の家では、構造計算によって安全性を確認することが必須になっています。

そして、家の構造が木造でも軽量鉄骨でも、柱だけで家を支えることは出来ません。必ず構造壁が必要になっています。

この原則はどんな構造であれ、基本的に変わりません。

必ず「構造壁」を持つ最近の住宅では、木造であっても今までのように「内部改造が自由自在」とはいきません。

昔の家であった「家族が増えたので2階を増築する」などについては、現実的にはほぼ不可能になっています。

「将来に備えて間取りを変えられる家」を考えるのであれば、どんな構造を選ぶにしても「安全性を確保しつつ、主に外壁面で家を支える」ような家を計画するようにして下さい。


◇劣化、メンテナンスは大丈夫か

14年住んでいますが、今のところ、全く問題ありません。

RC住宅床下
今回、床下の点検口を覗いてみましたが、新築時と全く変わりありませんでした。

ビルトインガレージ
少しわかりにくいですが、ビルトインガレージ内部の写真の変化です(14年前と現在の写真です)

14年間で停めている車は変わりましたが、内部は全く変化ありません。

躯体については、ノーメンテナンスで全く問題ないようです。


◇その他のメリット

躯体がしっかりしているので、例えば本などの重量物を置くときに床を気にしなくていいのは助かります。

◇壁一面の本棚が欲しい

台風、豪雨などでも心配がないのも良いですね。どんな強風でも揺れや軋みがありません。

台風、豪雨災害時が予想されるとき「丈夫な建物に避難してください」という放送がありますが、鉄筋コンクリート住宅は、この「丈夫な建物」に該当すると思います。



以上、実際にコンクリート打ちっ放し住宅に14年住んだ上での感想です。

実際に住んでみて、住み辛さを感じることも、不安を覚えることも全くなかったというのが実感です。

ハウスメーカーの家でコンクリート構造というのはあまりありませんが、しっかりした家を建てたい人には、鉄筋コンクリート構造を検討してみることをお勧めします。


  ◇ ◇ ◇


家を作るときに考えて欲しいことについて、こちらのページに纏めてみました。

テーマ別コラムのまとめ【ペット/寒さ対策/子育て/地震に強い鉄筋コンクリート住宅など】

興味のある分野があれば、是非、目を通して下さい。


 ◇ ◇ ◇


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浅井知彦
専門家

浅井知彦(一級建築士)

レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所

素材メーカーで研究してきた技術者としての経験を生かし、鉄筋コンクリート造の住宅を提案。快適な住空間に仕上げるため、デザインありきではなく機能性重視の家づくりを行っています。

浅井知彦プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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