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家を建てるときの工務店の選び方

浅井知彦

浅井知彦

テーマ:家を建てるときの新常識

今回は、地元の工務店に依頼して家を建てるときの注意点を書いていきます。

この場合の「地元の工務店」とは、「テレビでコマーシャルしているようなハウスメーカー」「建築士に依頼して施工会社を選ぶ」これらではない場合を想定しています。

イメージとしては「大工の棟梁」に直接依頼して設計、施工して貰うような場合でしょうか。


建築士が作る住宅
昔ながらの家つくり、住宅を建てるときは、この「地元の工務店(大工さん)にお願いする」ことが普通でした。

しかし、技術や材料がどんどん新しくなり、安全に関する法律や規制が増えた結果、今までの家つくりとは変わってきたことが多くあります。

今まで常識と思われてきたことを今もそのまま信じて良いのか、まずはその点をチェックしていきます。


◇地元の工務店に依頼すると将来のメンテナンスが安心

→【必ずしもそうとは言えません】

地元の工務店はずっとそこにあるのだから、担当者が変わるハウスメーカーより安心、という考え方があります。

しかし現在、小さな工務店は経営環境も不安定で、メンテナンスをサービスしてくれる程、余裕のある会社は少なくなっています。

代替わりで廃業するところも多くありますので、「ずっとメンテナンスしてくれる」という期待は、あまりしない方が良いと思います。

実際、私が関わった仕事では、個人営業の工務店より、メンテナンス部隊を持っている建築会社の方が、明らかに面倒見が良かったという経験があります。


◇大工さんあがりの職人の方が技術レベルが高い

→【普通の家であれば、必ずしもそうとは言えません】

現在の普通の家つくりでは、現場において「ノコギリ」「金槌」「カンナ」などはあまり使いません。

特に柱・梁などの構造部材の組み立ては「品質管理」「精度」「強度」が求められますので、工場でプレカット、現場では組み立てだけを行います。

釘は釘打機を使い、確実な固定であればスクリュービス(ねじ釘)を使います。「金槌でトントン」という現場は、ほとんど有りません。

確かに、柱や梁を美しく見せる「宮大工」のような仕事であれば大工としての腕の差は歴然としてあるでしょう。

しかし、現在、普通の木造住宅で必要とされている技術力は「図面を正しく読み込む能力」「手を抜かず確実に施工する正確さ」だと思います。


◇地元の小さな工務店の方が安く建てられる

→【場合によって違います】

営業経費など間接経費のかからない小さな工務店の方が工事費が安くなる可能性は、充分にあると思います。

しかし、工事費の何割かを占める「建築材料費」については、規模の大きい建築会社の方が圧倒的に有利です。

実際、標準的な「シャワートイレ(タンクレス)」について、小さな工務店と大手ハウスメーカーで「実際の仕入れ値」が倍近く違う例を見たことがあります。

「余分な間接経費のかからない工務店」と「大量仕入れで材料費が安い大手メーカー」、実際にどちらが安いのか、一概には言えません。


◇昔ながらの経験で建てた家の方が安全

→【一概には言えません】

経験豊富な大工さんがきっちり作った家の方が安全に決まっている・・・そう考える方もいるかもしれません。

しかしこれも、一概には言えません。

技術はどんどん進歩しています。

日本の昔ながらの木造住宅は、重い屋根を柱で支える構造でした。

しかし現在、この構造は地震で倒壊する可能性が高いということが判り、住宅には必ず「耐震壁」「筋交い」を入れることになっています。

基礎や柱の固定についても同様です。昔のように土台を簡単な基礎に「載せる」のではなく、「家本体を頑丈な基礎に固定する」のが今の常識です。

日本では大きな地震があるたびに、その被害を分析し、得られた成果から新しい技術、規制、法律が作られてきました。

本当に技術力のある大工さんであれば、この新しい知見を生かした上で、安全な家を建ててくれると思います。

しかし、昔ながらの技術”だけ”で仕事をして、新しい知識を身につけない大工さんであれば、ベテランだからといって安心できないと思います。

建築士が作る住宅
その他、気をつけて欲しい要注意ポイントを挙げてみます


◆安すぎる見積は危ない

安い工事見積には理由があります。

現場監督が幾つも仕事を掛け持ちしている、安い下請けに仕事を丸投げする・・・こういう現場では良い家は建ちません。

見積が甘く、後で追加費用を請求すればいい、という雑な受注をする会社もあります。

また、経営が危ない会社が、日銭のために安い値段での受注を急ぐという場合もあります。

安すぎる見積には要注意です。


◆知人の紹介に要注意

これについては、こちらを参考にして貰えればと思います。

【参考リンク】建築士が考える、失敗する家作りのパターン

紹介がすべて悪い訳ではありませんが、きちんとした距離感のとれない相手には仕事を頼まない方が良いと思います。

建築士が作る住宅
・・・以上、いろいろと注意点ばかり書いてきました。

では「どんな工務店を選んだら良いのか」というと・・・これはなかなか難しい問題で、簡単には言えません。

私は設計者ですから、工事を行う工務店を選ぶことはよくあります。

そういう専門家の目からみても、担当者に一度会ったくらいでは、その会社の技術力、内情などは簡単にはわかりません。

相手の会社を訪問して、何度か話を聞いて、業界内の噂を集めて(これが結構役に立つ)、やっと「信用できる会社かどうか」が判ってきます。

信用できない工務店については割と簡単に判りますが、信用できる工務店を選ぶのは、簡単ではありません。

工務店選びでリスクを避けたいのであれば、「建築士など専門家のアドバイスを受ける」というのも、ひとつの方法かと思います。


  ◇ ◇ ◇


家を作るときに考えて欲しいことについて、こちらのページに纏めてみました。

テーマ別コラムのまとめ【ペット/寒さ対策/子育て/地震に強い鉄筋コンクリート住宅など】

興味のある分野があれば、是非、目を通して下さい。


 ◇ ◇ ◇


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浅井知彦
専門家

浅井知彦(一級建築士)

レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所

素材メーカーで研究してきた技術者としての経験を生かし、鉄筋コンクリート造の住宅を提案。快適な住空間に仕上げるため、デザインありきではなく機能性重視の家づくりを行っています。

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