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デザイナーズ住宅を建てたい

浅井知彦

浅井知彦

テーマ:神戸、芦屋、西宮で家を建てる

デザイナーズマンション、デザイナーズ住宅・・・不動産の物件情報では良く聞く言葉です。

「デザイナーズ」物件、何となく使っている言葉ですが、改めてその定義を聞かれると、なかなか分かり難い言葉かもしれません。

みんなの考える「デザイナーズ住宅」というのは、おしゃれでこだわりデザインの家。
ハウスメーカーや建売住宅のよく見るインテリアではない、建築家の設計したモダンでデザイン性の高い住宅といったイメージでしょうか。

折角、家を建てるのですから、出来ればこだわりのデザインでかっこいい家=デザイナーズ住宅を建てたい・・・今回は、そういう人に、私が考えるデザイナーズ住宅設計の注意点を書いていきたいと思います。

芦屋のデザイナーズ住宅

ひとくくりに「建築家の設計したデザイナーズ住宅」といっても、建築家の考えによってできあがりは全然違ってきます。

私は「デザイナーズ住宅」設計のポイントとして、以下のように考えています。


◇普遍的であること

家のデザインにも流行があります。

同年代のハウスメーカーのデザインは、基本的に似通ったものになりますし、建売り住宅も、その後追い的に似たような外観になります。

そして、デザイナーズ住宅にも、実は結構「流行のデザイン」があります。

建築家が自由にデザインしているようにみえて、外観の仕上げやインテリアなどでは、結構似通った「今、流行っている」デザインが多かったりもします。

住宅は洋服などのファッショングッズとは違いますので、流行らなくなった、気に入らなくなったからといって簡単に取り替えることはできません。

流行のデザインが悪い訳ではありませんが、一度建てられると何十年もそこにある住宅ですから、ある程度普遍性のあるデザイン好ましいのではないかと、私は思います。


◇経年に耐えられること

長く存在する家ですから、長いスパンで考えた場合、どうしても劣化していくことは避けられません。

「劣化は避けられない」以上、それに対応した設計、デザインにすべきだと思います。

たとえば、構造的に不安定な建物、どうしても一部に応力のかかるような不自然なデザインの場合、ひび割れなどの不具合が発生する可能性が高くなります。

あまりに特殊な建具や外壁材の使用は、将来的な補修を難しくします。

私は、長く住むことを想定した上で、家全体のデザインを考えるべきだと思います。


◇不安感がないこと

デザインを重視しすぎた結果、構造的に華奢なものをつくってしまう場合があります。

たとえば、片持ちで踏み板が薄く、手すりの細い階段。これは浮いているように見えてかっこいいのですが、上り下りに不安があり、揺れが大きくなりがちです。

転落防止柵なども、なるべく目立たないよう、細く、小さく作りがちなのですが、これも使う人には不安感を与えます。

デザイン的に綺麗に見せたいのは判りますが、そこに住む人に不安感を与えるようなデザインは可能な限り避けるべきです。


◇光熱費が過剰にならないこと

私はコンクリート構造の家を多く設計していますが、居室の壁がすべて打ちっ放しになっているような家はつくっていません。

建築の専門家であれば、コンクリート打ちっ放しの室内壁=断熱材の無い家=光熱費がもの凄く高くなる事を知っています。

外壁側がすべてコンクリート打ちっ放しの壁になった部屋は、モダンで見た目には良いのかもしれませんが、全く実用性はありません。

デザイン上コンクリート打ちっ放し壁を見せるのであれば、部位を工夫することで機能を損なわず上手く見せることも出来ます。
神戸のデザイナーズ住宅
写真の壁は「外壁」ではありませんので室内の断熱性を損なうことはありません。
また力強いデザインは、玄関としても悪くないと思います。

間仕切りが無く、やたら天井高い部屋は、リビングや家全体で採用すると空調費用がかなりかかります。

しかし、エントランスホールなどに吹き抜けを使えば、明るく、開放感のある玄関を演出することが出来ます。

工夫次第で、デザインと機能は、ある程度両立出来ます。
家の設計では、見た目とランニングコストのバランスを考えながら、デザインを行うべきだと思います。

芦屋のデザイナーズ住宅


以上、デザイナーズ住宅について、個人的に気にしている点を幾つか挙げてみました。

ネガティブなことも書きましが、基本的な考えとしては

 「建築士は機能、デザインすべてを考えた上で、設計提案すべきである」

これではないかと考えています。


デザイナーズ住宅を求める人は、実用一辺倒の家では面白くないと考えていると思います。

しかし、かといって実用性を無視した奇抜な家を求めている訳でも無いでしょう。


私は、機能を最大限犠牲にしないようにした上で、デザイン的に優れたものをつくるよう、心がけていきたいと思います。


  ◇ ◇ ◇


家を作るときに考えて欲しいことについて、こちらのページに纏めてみました。

テーマ別コラムのまとめ【ペット/寒さ対策/子育て/地震に強い鉄筋コンクリート住宅など】

興味のある分野があれば、是非、目を通して下さい。


 ◇ ◇ ◇


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浅井知彦
専門家

浅井知彦(一級建築士)

レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所

素材メーカーで研究してきた技術者としての経験を生かし、鉄筋コンクリート造の住宅を提案。快適な住空間に仕上げるため、デザインありきではなく機能性重視の家づくりを行っています。

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