高低差のある住宅地、傾斜地に家を建てる方法(傾斜地を購入するとき注意すること)
今回から2回にわたって、お風呂を2階あるいは3階に設置した場合のメリット、デメリットについて書いていきます。
【参考】2階あるいは3階にお風呂を設置した場合のメリット
2階あるいは3階にお風呂がある間取りは、最近では珍しいことではありません。
実際、モデルハウスなどでも、よく見かけると思います。
しかし、一昔前まではほとんど見かけなかった間取りですので、まだ馴染みのない方もいるかもしれません。
今回は2階、3階にお風呂がある家についての問題点、心配な点を書いていきます。
水漏れの心配は無いか?
最大の問題点は、漏水時のトラブルが大きいことではないでしょうか。
1階のお風呂なら水漏れは床下にしか影響はありませんが、2階あるいは3階なら、その下の階にまで影響が及びます。
水漏れは早期に発見して対処しないと、構造材の腐食を引き起こす原因になります。
柱や梁に水が掛かって腐っては構造上の大問題・・・しかし実際のところ、これは木造住宅でしか発生しないトラブルです。
鉄骨住宅では、あまり問題はありませんし、鉄筋コンクリート住宅では全く強度に影響はありません。
(とはいっても漏水を放置するのはまずいですが)
お風呂からの漏水の危険度は、
木造住宅 > 軽量鉄骨(プレハブ)住宅 > 重量鉄骨住宅(床がコンクリート) > 鉄筋コンクリート住宅
でしょうか。
ユニットバスの普及で、漏水の危険は下がっています。
実際の施工では、不具合をチェックするための床下点検口も設けます。
木造住宅以外で、信頼出来る施工業者が施工したのでしたら、あまり心配する必要は無いかもしれません。
写真はTOTOの「洗い場付き浴槽」です。
浴槽と洗い場をFRPで一体成形していますので防水工事が不要。2階の浴室作りに適しています。
小型のお風呂ですので、シャワールーム代わりに設置することが出来そうです。
浴槽の重さは大丈夫か?
床荷重は大きめの浴槽、たとえば300リットルのものなら、水の重さだけで300kgになります。
その場合の浴槽のサイズが1.4m×0.7mくらいだとすると、面積は約1平方メートル。
単位面積あたりの床荷重は300kg/平方メートルとなり、住宅床の設計荷重(180kg/平方メートル)を超えてしまいます。
しかし実際には、浴槽はユニットバスと一体で設置されますので、その荷重はユニットバスの床組に分散されます。
ユニットバスの広さが1.6m×1.8mなら面積は2.88平方メートル。床に掛かる荷重は約100kg/平方メートルに下がります。
更にいうなら、一般的にお風呂は部屋の真ん中に置かれることはありません。
通常、部屋の隅、つまり荷重に有利な壁や柱に近い位置に配置されます。
木造の場合は床組を強化するなどの対策が必要かもしれませんが、鉄筋コンクリート、重量鉄骨の場合は、ほぼ問題ありません。
水音が気にならないか?
木造の場合、お風呂の直下階の部屋が寝室なら、水音が気になるかもしれません。
しかし、鉄筋コンクリート、重量鉄骨の住宅なら、まず、気にならないと思います。
コンクリートの床は、殆どの音、振動をシャットアウトします。
実際、私はお風呂の直下にある寝室を使っていますが、水音が聞こえることは殆どありません。
(鉄筋コンクリート住宅です)
・・・上記を読んで貰うと判るように、鉄筋コンクリート、重量鉄骨の住宅では、2階あるいは3階にお風呂を設置しても、殆ど問題ないと思います。
(2階や3階にお風呂を設置することに問題があるのなら、マンションは全部駄目となってしまいますし)
その他、2階や3階お風呂で注意することについて書いていきます。
シャワーの水圧が弱いのではないか?
シャワーの水圧問題は、オール電化など貯湯型給湯方式の場合に問題になります。
一般的に、オール電化の貯湯タンクは水圧が弱いようです。
一応、2階でもシャワーは使えるようですが、シャワーが弱くなる可能性があります。
エネファームの貯湯タンクは、オール電化のタンクより容量が小さく、水圧も高くなっています。
この場合、2階までなら問題なくシャワーが使えます。
(しかし、強いシャワーが好みの人は、一応、水圧を確認しておいた方が良いかもしれません)
貯湯型給湯以外の場合は、水道の水圧が直接影響します。
神戸、芦屋、西宮でしたら、ほぼ問題なく、2階でも3階でも水圧の強いシャワーが使えます。
長期優良住宅は?
長期優良住宅の認定基準は、水回りが1階にあることを前提としているため、2階あるいは3階にお風呂がある場合、不利になる可能性があります。
2階あるいは3階のお風呂設置で長期優良住宅の認定を受けたい場合、設計者にその旨を伝えて下さい。
※長期優良住宅自体、メリットもありますが、デメリットもたくさんあります。適応すべきかどうか、メリットデメリットを比較して、よく検討して下さい。
・・・今まで書いてきたとおり、2階あるいは3階にお風呂を設置するときには、安心出来る工法、構造で施工することをお勧めします。
鉄筋コンクリート住宅、重量鉄骨住宅、あるいは全面的にメーカーのメンテナンスが受けられる大手プレハブメーカーでの施工なら、まず問題ないのではないでしょうか。