【マーケティング小噺#10】 ほとんどの事業がBtoC
イノベーションって新技術・新製品が必要だって思っていませんか?
答えは「No」です。
今では多くの洗剤が訴求する衣料用洗剤の「除菌・防臭」。
最初に訴求したのは粉末のアリエールです。
Q: それは画期的新技術の採用だったの?
A: いいえ、大きく製品は変えていません。
除菌をうたう前のアリエールは、シェアが大きく落ち込んでいました。
チームで「何ができるか」を考えている時に出てきたアイデアの1つが
「除菌効果」でした。
粉末のアリエールには、もともと高い洗浄力を提供するために酸素系漂白剤を
配合していました。アイデア出しの時、「その成分に除菌効果がある」と
研究開発部門が改めて気づいたのです。
まず「洗浄力に除菌力」と訴えました。ただ、除菌効果は目に見えません。
そこで、下着メーカーのグンゼさんに確認していただき、推奨をいただくことで、
説得力を強めました。
次に、除菌することで生乾きの嫌な臭いを防ぐ「消臭効果」を訴えました。
消費者の悩みに対して、実感できる便益を提供したことで。
アリエールはV字回復を遂げました。
競合他社も追随して、「除菌・防臭」を訴求し始めました。こうして画期的な新技術なしで、
「洗浄」から「清潔」へ、洗濯のイノベーションを起こしました。
P&Gでは商品を変えずに新しい価値提供をすることをマーケティングイノベーションと
呼んでいました。よく知っているが故に、この製品やサービスはこうだと思い込んでいる
ことがあると思います。
同じ技術から新しい機能、同じ機能から新しい用途を考えてみては、いかがでしょうか?