フローリングでシックハウスにならない床材は?自然素材が有効な理由とは
「木のぬくもり」という表現をよく耳にしますが、これは比喩ではありません。実際、天然の木材に触れてみるとぬくもりを感じます。
【当社の実用新案床材 杉の置き床生活】
しかし、フローリングの床を素足で歩くとひんやりとした感触があります。特に冬の朝などは、スリッパなしでは歩けないという方もいらっしゃるでしょう。木でできたフローリングを冷たいと感じるのはなぜでしょうか?
それはフローリングの種類や木の種類によって温かさが異なるためです。
【古材や御簾戸ともデザイン的にピッタリの杉の置き床生活】
<冷気は下に、暖気は上に移動。 健康にいいのは「頭寒足熱」>
温かい空間をつくるのに、特に大切なのが床です。家の中で常に体に接しているのは床なので、床が冷たいとストレスを感じます。
また、昔から「頭寒足熱」といって、足元は温かく、上部の温度が低いことが健康に良いとされています。実際、冷たい床が原因でヒートショックを起こす場合もあります。
足元の温かさというのは、健康とも密接に関連しているのです。
家自体が寒いと、床は一層冷え込み「底冷え」を感じるようになります。冬になると、冷たい外気の影響を受けて、家の中が冷えてきます。一番冷え込みが強いのは窓際です。窓際で冷やされた空気は気流となって下のほうに移動し、足元が冷たくなります。
部屋を暖めればよいかというと、そうでもなく、ストーブやエアコンなどを使用しても、やはり、暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ移動するので足元は寒いままです。
エアコンをかけても足元は一向に温まらず、顔ばかりがほてってくるという経験は誰にでもあると思います。これではエネルギーの無駄遣いになってしまいますし、「頭寒足熱」の健康的な温熱環境を実現することができません。
したがって、足元を温めるには床への対策が必要となります。
【マンション用複合フローリング】
<複合フローリングの床は冷たく、無垢フローリングは温かい>
冷気が下に溜まるうえに、その床がフローリングだと特に冷えます。「ヒヤッ」と冷たい床は、ほとんどが複合フローリングの床です。
複合フローリングとは、薄い板を接着剤で重ね張りしたものです。マンションなども含めて、現在、建てられている住まいのほとんどは複合フローリングを採用しています。
したがって、冬場は靴下やスリッパを履く、あるいはカーペットを敷くなど、床と直接肌が接しないような対策が必要です。
しかし、素足で歩いても冷たくないフローリングもあります。それが無垢フローリングです。
無垢フローリングは天然の木を加工した自然素材で、木のぬくもりを感じることができる床材です。残念ながら複合フローリングの方が、価格が安く普及率が高いので、フローリングは冷たいと思われがちですが、無垢材を使用すると、ぬくもりのある床が実現します。
【ダークブラウン色に塗装した杉の置き床生活】
<無垢フローリングが温かい理由>
無垢の木はなぜ温かいのか。それは内部に空気を含んでいるからです。
木は伐採された後、細胞の中の水分が抜け、その隙間に空気が溜まります。この隙間の割合を空隙率といいます。無垢の木は空隙率が高いので、それだけ空気を多く含んでいます。
天然木は熱伝導率がゼロに近く、空気を多く含む天然木ほど断熱性が高いのです。無垢フローリングに触れるとぬくもりを感じるのはこのためです。
一方、複合フローリングは薄い板を貼り合わせて圧縮しているため、空隙率が低く、ほとんど空気を含みません。したがって断熱性が低く、床下の冷たさがダイレクトに伝わるので触れると冷たさを感じます。
足が冷たいと感じるのは、足の裏の温度よりも床の温度が低いため、足の裏の熱が、床に奪われてしまうからです。冷たい床に立ち続けていると、どんどん体が冷えていきます。
【無垢床の中では固く冷たいウォールナット床材】
<樹種によって温かさは異なる>
無垢のフローリングを採用すれば必ず温かくなるかというと、必ずしもそうではありません。
同じ無垢でも樹種によって性質は異なり、無垢なら全ての樹種が温かいわけではないのです。木はおおまかにわけて針葉樹と広葉樹がありますが、針葉樹はやわらかく、温かさを感じます。広葉樹は硬く、冷たさを感じます。このため、床材には針葉樹が、家具には広葉樹がよく使われます。
やわらかい木は空隙率が高く、断熱効果も高いです。
たとえばスギ。日本を代表する針葉樹です。
まっすぐな木目と大きな節が特徴で、香りもよく、床材としての評価も高まっています。やわらかくて保温性も高いため、肌触りがよく、ぬくもりを感じる樹種です。
パイン・ヒノキなども空気を多く含み、足裏に自然のぬくもりを感じます。
一方、ナラ・ウォールナット・チェリー・チークなどの広葉樹は、硬くて重厚感がある反面、ぬくもりは感じにくい樹種といえるでしょう。
【食卓テーブルにもお気に入りの無垢材を使いませんか? 手や肘が冷たくありません。】
<お気に入りの樹種を選びましょう>
温熱環境は住まいの快適さを左右する重要な要素のひとつです。
冬は暖かく、夏は涼しく、また湿度は、冬は乾燥しすぎず、夏はべたつかずというのが住環境の理想です。それをかなえるのが無垢材です。
同じ無垢材でも樹種によって、ぬくもりだけではなく、肌触り、香り、風合いなどに違いがあります。設置場所を考慮にいれながら、適材適所の無垢材を取り入れることが大切です。