フローリングでシックハウスにならない床材は?自然素材が有効な理由とは
新築やリフォームなどで、こだわりポイントのひとつとなるのが床材選びではないでしょうか。現在、主流の床材といえばフローリングですが、フローリングには複合フローリングと無垢フローリングがあります。最近では健康面や肌触りの良さから、新築でもリフォームでも無垢フローリングを取り入れる方が増えています。
今回は無垢フローリングのメリット、デメリットについてお伝えします。
<複合フローリングと無垢フローリングの違い>
複合フローリングも無垢フローリングも、見た目はどちらも木なので、違いがよくわからないという方もいらっしゃると思います。
まずは両者の違いについてご説明いたします。無垢フローリングは、天然木から切りだした木材を一枚の板に加工したものです。
一方、複合フローリングは、薄い板を貼り合わせてつくった合板の表面に、化粧板を貼ったものです。
ひとことでいえば、無垢フローリングは自然素材、複合フローリングは工業製品ということになります。
<本物ならではの味わい>
無垢フローリングの最大のメリットは、やはり本物であることです。自然の木の質感をダイレクトに味わうことができ、香り、色合い、表情、すべてが私たちの生活に安らぎや癒しをもたらしてくれます。
*使い込むことで魅力が増す
張り替えたばかりの瑞々しい質感も魅力ですが、年月を経て変化していく色、つやを楽しむことができるのも無垢材ならではの良さです。
*無垢フローリングは健康に良い
新築やリフォーム後の住まいでは、床、天井、壁などの建材によっては、使われている接着剤から発散される有害物質によって健康被害がひきおこされることがあります。
複合フローリングは板を何層にも貼り合わせたものなので、その分接着剤の量も多く、アレルギーやアトピーなどのシックハウス症候群が心配されます。家族を守るための家が原因で健康を害しては本末転倒です。
その点、無垢材は一枚の板なので接着剤は不使用、またはごく少量なので、健康被害の心配が軽減され、小さなお子さんがいる家庭でも安心して子育てができます。
*冬でもぬくもりを感じる
複合フローリングは、冬、素足で歩くと「ひやっ」とした感触があります。一方、無垢フローリングは自然のぬくもりを感じます。
無垢の木は、内部に空気を含んでいるため、断熱性に優れており、フローリングによくある「ひやっ」とした感触が少ないのです。
針葉樹系のやわらかい木ほど空気を多く含み、冬に素足で歩いてもストレスを感じません。この点でも無垢フローリングは健康的といえます。
*踏み心地が良い
自然のぬくもりに加えて、適度な弾力性があって踏み心地がいいのも無垢ならではの魅力です。 キッチンなどで長時間立ち仕事をしても足が疲れませんし、子育てにも適しています。
*調湿効果で快適な湿度に
天然の木は加工されたあともまわりの温度や湿度に合わせて「膨張-収縮」を繰り返します。湿度の高い夏は、周囲の湿気を吸収して膨張し、乾燥する冬は内部の水分を放出して収縮します。
このため、無垢材を使用した室内は、いつも快適な湿度で結露が少なく、ダニやカビも繁殖しにくい環境となります。肌触りも、夏はべたつかず、冬はほんのりあたたかです。
*手入れも簡単な無垢フローリング
無垢材は表面を固める塗装をしていない(※メーカー物によっては塗装されている場合もあります)ので、静電気が発生しません。そのためホコリがこびりつくことがないので、掃除やお手入れはラクラクです。ワックスなどを塗る必要もありません。
普通に掃除機をかけ、時々、水拭きするだけでオーケーです。食べ物や飲み物をこぼした時は、すぐに拭き取ってください。汚れが気になるときは、食器用洗剤をほんの少し入れた水で拭いてください。
*長もちする
無垢材は樹齢の2倍もつと言われています。現在使われている床材の多くは樹齢50~60年ですから、耐久性はもちろんのこと、その調湿効果や断熱性も半永久的に機能するということです。
*無垢フローリングのデメリットとは
以上のように、無垢フローリングにはメリットがたくさんありますが、注意しなければならない点もあります。ひとつは反りや割れの可能性です。
無垢材は温度や湿度の変化で膨張と収縮を繰り返すため、割れや反りが発生することがあります。しかし、施工時にあらかじめしっかりとした対処を施すことで、トラブルを最小限に防ぐことができます。電気カーペットを使用したり、床暖房を取り入れたい場合は、温度変化に対応できる専用の無垢床材を選ぶことが大切です。施工後のアフターフォローはどうなのか、あらかじめ工事業者としっかり確認しておきましょう。
*やわらかい樹種は傷がつきやすい
スギなどの針葉樹はやわらかくて傷がつきやすく、凹みもできやすい素材です。また比較的硬い広葉樹でも傷がつくことはあります。しかし、無垢の木は年月とともに濃く、固く、ツヤが出てきますので、傷も目立たなくなります。
複合フローリングは部分的に貼りかえることは難しいのが現実です。凹んだり剥がれた部分を専門的に修復してくれるリペアという技術がありますが、かなり高額の費用がかかります。その点、無垢フローリングのほうが神経質にならずにすみます。
*工業製品よりも価格が高い
無垢フローリングは、確かに複合フローリングより値段が高くなります。接着剤でひたすら下床に貼り付けていく複合フローリングにくらべると、施工の技術も要求されるので、工事費も高くつくことが多いです。
しかし、手が届かないというほどでもありませんし、寿命も長いので、30年という長いスパンで考えると経済的といえるでしょう。上小節(節が少ない)のような高級な樹種もありますが、お手ごろなものもあります。
以上のように避けられないデメリットもありますが、それを上回る魅力もあるのが無垢フローリングです。木の特性を理解し、上手に付き合うことで、自然の恵みに溢れた快適な空間となります。