心に響くスピーチの極意【野田首相と小泉元首相のスピーチ】
「納得」と「共感」を得られる説得力に注目!
FIFAワールドカップに日本代表が出場を決めた夜に巧みな話術で群衆を誘導し、「警視総監賞」も授与された「DJポリス」。
そのときの話術については、こちらで解説しましたので、ごらんください。
http://jijico.mbp-japan.com/2013/06/24/articles1231.html
その後も、夏のイベントなどで雑踏警備に大活躍しているようです。
彼の言葉はどうして相手の心に響くのでしょうか。
先週、葛飾区で行われた花火大会でのDJポリスの話術を再び分析してみました。
「誰に」呼び掛けているのかが明確、だから聞き流されない
たとえば、「きれいな浴衣姿の女性を連れている男性の皆さん」「家族サービス中のお父さん」「階段を進んでいる皆さん」のように、「他の誰でもない、あなたに呼び掛けているんですよ」と、メッセージを発しています。
「1対不特定多数」ではなく、「1対1」のパーソナルなメッセージになっているため、 「聞き流されず、受け止められやすい」という効果があるのです。
「なぜ」「何のために」を示して聴き手の納得を得る
「土手の斜面は大変滑りやすくなっていますので、一歩一歩、踏みしめるように大切に進んでください」「彼女が転ばないようにしっかりとエスコートしてください」という具体的なお願いを多用しています。
「皆さんの安全のために、警察官、警備員も一生懸命、誘導に当たっています。皆さんの安全のために誘導に従ってください」など、「何のために、どう動いて欲しいのか」を 伝えているため、群衆を動かすことができています。
その場にいる皆を共通の目標を持った「チーム」にしている
「小さなお子さんも大勢、見受けられます。皆さんで支えて、小さなお子さんを安全に家に帰してあげましょう」のようなメッセージは、この場にいる皆に共通の使命感を与えるという効果があり、聴衆心理をうまくつかんでいます。
また、「ごらんのように混み合っています」のように「ごらんのように~」のワードをよく使っていますが、これも「ごらんのように」と聴衆を促し、その様子を自ら確認、納得してもらい、共通認識を持って行動してもらえるという効果があります。
情緒的、情感的なワードを多用
彼独特の表現としては、「一歩一歩大切に進んでください」「譲り合うやさしい気持ちを持って進んでください」「雨の中、先を急ぐ気持ちは痛いほどよくわかります」「警察官・警備員を信じてください」のような気持ちを前面に出す表現があります。聴衆と気持ちを共有できるような、情感ワードを使うことで、「共感」が得やすくなっています。
「納得」と「共感」が得られるメッセージで相手の心を動かす話術は、ビジネスにも活かせそうですね。
拙著『「声」と「言葉」で心に響くプロの話し方作法』でも、誰もが聞きいってくれる声や話し方の極意をご紹介しています。
http://www.kotonoha-canon.com/book.html