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辻村豊

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辻村豊(つじむらゆたか) / 技術コンサルタント

合同会社 播羊化学研究所

コラム

音を出しさえすれば良いのでしょうか?

2024年4月27日

テーマ:日々雑感

コラムカテゴリ:スクール・習い事

皆様方、お世話になっております。日々雑感を綴っております。
前回も大学時代のクラブ活動である交響楽団についての思い出についてお話し申し上げましたが、今回もその続きです。

交響楽団に入部して、しばらくすると、特に管楽器は曲らしい曲を奏でている人がほとんどいないことに気付きました。
では日頃何をやっているかというと、ひたすら基礎練習ばかりです。『ドミドミドミドミ、ドミソミドミソミド』てな具合です。
とにかく曲を演奏しようとしていたピアノとは大違いでした。

メトロノーム大好き!


そして、いざ合奏となります。
最初は同じ楽器とかで行うのですが、とにかくメトロノームが大活躍でした。ピアノの恩師がメトロノームが嫌いだったので、全く使ったことが無かったので、そこでも新鮮でした。
しかしながら、どうもあのメトロノームのカチカチという音に合わせて、出だしを合わせようとして神経戦をやっているのは性に合わないことがわかってきました。
もちろん、合奏というのは、合わせてなんぼのもん、なんでしょうが、それでも、もっと大事なことを置き去りにしているように思えて来ました。

音を出すのか?曲を奏でるのか?

結局、中学や高校で吹奏楽部に入ると、音を出して、音を揃えて、にばかり注力して、曲を奏でるということには意識が行かないのだろうと思います。
もっとも、大勢の部員を指導してまとめるのには、そのような方法を採らざるを得ないのかもしれません。
その後も面白い現象に遭遇しました。

曲なんか成立しなくても良い?

学校を卒業してから、市民吹奏楽団にも参加していたことがありました。
ただ、合奏練習しようとしても、人数が揃っていない、市民吹奏楽団あるあるなことが恒常的に続いていました。その結果、曲もメロディーが途切れて、曲になっていないことも多々発生していました。ある時、対策として、各楽器がなるべくメロディーを奏でる努力をすれば良いことに気が付きました。
各楽器には、第1、第2、第3とパートがあり、第1は往々にしてメロディーを奏でることが多いです。そこで、たとい自分は第1パート以外を担当していても、その日の練習に第1パートの人が来ていなければ、私は第1パートを吹いていましたし、必ず第1パート用の譜面も手元に置いていました。
それと、これは吹奏楽では有名な某工業高校出身の人に聞いたことですが、マーチングの時はとにかくメロディーを伝えることを重要視するので、全員が第1パートを演奏するそうです。言い換えれば、全員第1パートであれば、曲は十分成立するということです。
そんなことを周囲に話したことがありましたが、誰一人として耳を傾けることはなく、単に音を発するだけで、曲になっていない練習が続いていました。

背景にも興味がない

さて、吹奏楽には『船乗りと海の歌、ロバート・W・スミス作曲』という有名な楽曲があるのですが、ある時これを演奏会でやろうということになりました。
当時、なぜか楽曲の名前が『海の男達の歌』とも呼ばれていました。演奏会でもこの『海の男達の歌』として、プログラムに載せようとしていました。ところが、たまたま当時習っていたトランペットの恩師が、作曲者自身から直接『あの曲は船乗りと海の歌であって、海の男達の歌ではない!!!』と、日本語で言ったかどうか?わかりませんが、物凄く嘆いていた!と語っていました。
そこで、市民吹奏楽団にも『作曲者の意思を尊重すべきでは?』と提案しましたが、これまた聞く耳持たず状態でした。それどころか、『映画のゴジラもアメリカへ行けば題名が変わる。それと同じだ。そんなこともわ知らないのか?』と蔑まれたりしました。
ものづくり、あるいはそれに至る研究開発をやっていると、それを産み出した人を心から尊敬したくなるものですが、それは単なる職業病なのかもしれません。

音を出しさえすれば良いのか?


てなことで、所属していた市民吹奏楽団では、とにかく音を出しさえすればそれで良く、曲の背景を知って、曲を大切にして、皆で曲を奏でることにはあまり関心のないような場所でした。
学生のころ、吹奏楽コンクールにも出たことがあるのですが、審査員の講評内容を聞くと、音を出すことにばかり重きを置かれ、曲を如何に解釈して曲を奏でるか?の部分はほとんどなかったように思います。一説には審査員自身も曲を理解していないとも言われており、『木を見て森を見ず』状態だったのかもしれません。そのようなコンクールありきの文化の行き着いた先がが曲軽視になっているのかもしれません。
ちなみに小学校の時にやったリコーダーは純粋に曲を奏でようとしていたように思えますが…
もちろん、人それぞれ価値観も違いますし、何が正しいというものはありません。ただ、曲を重んじる文化はもっとあっても良いのでは?と思いますが…

この記事を書いたプロ

辻村豊

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