空き家を売却した場合の税金について。特別控除は受けられる?
老朽化した空き家が全国に増えて問題になっています。
しかし、「解体費用が捻出できない」「建物がなくなると固定資産税が高くなる 」、こうした理由でなかなか解体、除去に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。しかし、放置した建物が倒壊して第3者に損害を与えた場合、所有者はその責任を負うことになます。
建物の解体は、そうしたリスクをなくすことにもつながります。地域に迷惑を及ぼす建物は、所有者がきちんと管理するか、または解体に取り組む必要があります。そもそも、建物を解体、除去はどのような手順で行われ、費用はいくらくらいかかるのでしょうか?
解体工事の依頼先を探す
所有している住宅を撤去して更地にしたり、新しく住宅を建てたりするために解体を行うことがあります。
住宅を解体、撤去するには解体専門工事業者に依頼します。解体工事を行うためには、建設業許可か、解体工事業の登録が必要となっています。
最近ではインターネット上に解体工事業者を検索できるサイトが開設されており、一括見積や比較などができるようになっています。
住所や建坪、様式などの詳細をフォームに入力することによって、サイトに登録している業者から大まかな見積もりが提示されるサービスです。
しかし、実際には現地調査は必須で、安い見積もりを提示されても、現地調査の結果、上乗せされることも多々ありますので、利用する場合はあくまで参考程度という認識が必要です。
解体工事業者は、通常はゼネコンや工務店の下請けで工事を行っておりますので、地元の信頼できる工務店などを通して仕事を依頼するケースもあります。
費用はどのくらいかかるのか?
解体工事費用は、建物の大きさ、素材、構造、立地、地域や工事条件によって多種多様です。
目安としては、木造住宅で坪単価(3.3平方メートル)40,000円、鉄骨造で60,000円、鉄筋コンクリート造で70,000円程度となります。
なお、費用は坪数でなく延床面積で計算しますので注意してください。
費用が高くなるケース
所有する空き家が次のような条件にあてはまる場合は、費用が割高になると思われます。
●重機が入れない狭い敷地での手壊し作業となると坪単価も高くなります。
●建物のほかに塀の取り壊し、カーポートの解体、土間コンクリートの解体などの作業があると費用が別途かかります。
●建物の地中に埋まっているコンクリートブロックや浄化槽なども別途費用がかかります。
●解体作業は高所での作業があるので足場を組み立てます。また住宅密集地では、近所への防塵や防音対策として養生設置を行います。これらの費用は、家屋の大きさによって設置の規模が変わります。
●家具や家財道具など、家の中にあるものの処分は解体費に含まれません。これらの処分を合わせて依頼すると費用が加算されます。
以上のように、ケースバイケースで上乗せ費用が発生しますので、所有者立ち合いのもとで現地調査を行い、正確な見積もりを出してもらいましょう。
古物、美術品など、買い取ってもらえるものがあれば、先に処分をすませておきましょう。
電気やガスなどの引込み配管や配線の撤去は、解体工事前に済ませておく必要があります。
水道については、解体業者が防塵のために使用する可能性があるので撤去する前に確認をしておきましょう。
解体工事の手続きとは
床面積が10㎡以上の建物の解体工事を行う場合、市区村長に「建築物除去届」を提出することになっており、これは解体業者が行ってくれますが、工事完了後は法務局で建物減失登記を行い、市区村長には建物取り壊し届を提出し、固定資産税台帳の変更手続きを行う必要があります。
自治体の支援策を利用
建物を解体するためにはまとまったお金が必要です。売却や賃貸で、あとでお金が入るにしても、事前に大金を用意する必要があります。しかし、自治体によっては空き家に対してさまざまな支援策を打ち出しており、解体費用を助成してくれる自治体もあります。こうした支援策を利用しない手はありません。
姫路市では、老朽危険空き家の解消を促進し市民の安全と安心を確保するために、老朽危険空き家の解体撤去費用の5分の1以内(上限30万円)を 補助する制度を実施しています。
補助金を受けるためには申請期限や、これまで市民税の滞納がないこと、劣化具合など、いくつかの条件がありますので担当窓口などで確認しておきましょう。
解体しないで活用する手もある
まだ、十分住める家であるなら、解体せずに耐震工事やリフォームをして有効活用することを考えてみてはいかがでしょうか。
お金はかかりますが、こういった費用に補助金を出してくれる自治体もあります。
ちなみに姫路市では、空き家バンクに登録されている空き家の改修費を、一部補助する制度もあります。
空き家となった家を活用する際には、こうした支援を積極的に活用したいものです。
支援の内容や条件は自治体によって違いますので、ホームページなどで確認してみましょう。