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交通事故に遭った被害者の家族はどういう立場になるのか?

川島英雄

川島英雄

テーマ:交通事故

 これまで、交通事故の被害者になってしまった場合にどうしたらよいかということは書いてきましたが、被害者ご本人が不幸にもお亡くなりになってしまった場合や、重傷を負って入院してしまったためご本人が応対できない場合など、ご家族が代わりに動く必要がある場合のことは書いていませんでした。
 今回は、ご家族の立場で、どうしたらよいかということを書いてみたいと思います。

被害者ご本人が搬送され入院した場合


意識はしっかりしている場合

 被害者ご本人が搬送され、入院することとなったとしても、意識がしっかりしている場合には、基本的にご本人の判断で物事を決め、判断してもらうことになります。
 ご本人が不自由なく日常生活をおくれるようになり、通常の社会生活が可能になるまでの間、家族としてサポートしたりすることになります。
 保険会社とのやりとり、示談交渉、弁護士に依頼するかどうかなどの判断も、原則としてご本人の意思によることになりますので、ご家族が保険会社や弁護士との連絡の窓口になるとしても、代わりに示談したり依頼する立場になるわけではなく、あくまでも「事実上やりとりを取り次ぐ」役割となります。

 ご家族の立場として、保険会社とのやりとりに困ることがあるような場合は、ご本人と相談の上、ご本人の代わりに一度弁護士に相談してみるとよいと思います。最終的に正式に依頼するかどうかはご本人の判断が必要ですが、相談までであれば、弁護士は、ご家族からのご相談にも応じることができます。

 家族が突然の交通事故の被害に遭遇してしまっただけでも大変動揺されているでしょうし、保険会社との応対なども慣れていないため非常に困惑されるのではないかと思いますので、弁護士の立場からすると、できれば、専門家である弁護士を早めに頼っていただき、ご相談ご依頼をご検討いただくことをお勧めします。  

意識がない、判断能力が微妙な場合

 被害者ご本人に意識がない、あるいは判断能力に疑問があるような場合には、ご本人の判断で何かを決めることはできません。
 このような場合は、家族が代わりに応対するほかありません。

 保険会社は、大きな問題が生じない限り、家族が窓口として対応していれば本人代わりとして扱ってくれることが多いですが、正式には、特に示談を行うには、成年後見制度などを利用しておく必要があります。
 ご本人の意思が確認できないのに、家族が代わりに示談の内容を決めてしまうわけにはいかないのです。

 弁護士に相談すれば、通常、交通事故の被害者に対するアドバイスという通常の交通事故に対する相談のほか、成年後見制度の利用についてもフォローしてくれると思います。
 ですので、被害者ご本人に意識がない、あるいは判断能力に疑問があるような場合には、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

被害者ご本人がお亡くなりになられた場合


 被害者ご本人がお亡くなりになられた場合、相続が発生します。
 交通事故の被害による損害賠償請求権は、亡くなられたご本人の請求権であると考えられており、このご本人の請求権を相続するという考え方がとられています。
 ですので、ご本人がお亡くなりになられた時点で、相続人がそれぞれ法定相続分に従って請求権を受け継ぎます。

 よって、被害者ご本人がお亡くなりになられた場合には、相続した相続人の方々で、それぞれが受け継いだ損害賠償請求権を行使して、保険会社と示談などの話し合いを行っていくことになります。弁護士に依頼する場合も同様で、相続人それぞれの方が、自分が受け継いだ損害賠償請求権の行使について相談したり依頼する形となります。

 この場合も、保険会社は、大きな問題が生じない限り、相続人にあたるご家族ご遺族の中から代表となる方を決めて、その方を窓口として対応してくれることが多いですが、正式には、特に示談を行うには、相続人にあたる方それぞれとの間で示談を行う必要があります。
 相続人の一部の方だけで、示談の内容をすべて決めてしまうわけにはいかないのです。

 相続が発生している場合、相続人同士がお互いに反目しあわなければ、一人の弁護士にまとめて相談したり依頼することも可能です。ですが、相続人同士で揉める可能性がある場合などでは、弁護士は複数の相続人からまとめて依頼を受けることができなくなることがあります。
 相続の場合には、このような点に注意が必要です。

 このように、被害者ご本人がお亡くなりになられた場合、賠償のことだけでなく、相続についてもいろいろ考えなければならないことが出てきてしまう可能性があります。
 弁護士であれば、通常、交通事故の賠償についてのアドバイスのほか、相続についてもフォローしてくれると思います。
 ですので、被害者ご本人がお亡くなりになられた場合も、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

被害者ご本人が未成年の場合

 被害者ご本人が未成年の場合には、親権者が法定代理人となっていますので、親権者がご本人の代わりに保険会社とやりとりしたり、示談をしたりします。弁護士への相談や依頼も同様です。これは、入院した場合などに限らず、すべての場合にあてはまります。

 親権者であれば、ご本人の代わりとして保険会社や弁護士に対応いただいて問題ありません。

なるべく早めに弁護士にご相談ください


 いずれの場合でも、慣れない保険会社との対応などのために落ち着かない時間を過ごすよりも、早めに専門家である弁護士にご相談いただき、条件が許すようであっれば早めに依頼していただいた方がよいと思います。
 特に、弁護士費用保険(弁護士特約)が利用できる場合には、経済的な負担も抑えられますので、ぜひ早めに弁護士にご相談ご依頼されることをご検討ください。

 もっとも、以前も何度か書かせていただいていますが、弁護士の中には、治療が終了した後での示談交渉からしか相談や依頼を受けないという人もいますので、どの弁護士でも、すぐ相談に行けば対応してくれるとは限りません。
 事前にホームページなどをご確認いただき、事故直後から相談やサポートをしていると表示している弁護士を探してご相談いただいた方がよいと思います。

 私はもちろん、事後直後からご相談に対応し、サポートさせていただきます。

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川島英雄
専門家

川島英雄(弁護士)

札幌おおぞら法律事務所

 コミュニケーション能力と、医学的な知識を武器に、交通事故・医療事故の被害者側の案件を重点的に取り扱っている。複数の弁護士が所属する法律事務所の一員で、サポート体制も万全。

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