交通事故の後遺症(後遺障害)認定
医療事故について書いたコラムで、裁判は事実が大事であると書きました。
そして、事実認定には、証拠が大事であるとも書きました。
これはもちろん、交通事故でも変わりません。
証拠がなければ、裁判官は、請求を認めてくれないどころか、その前提となる事実もなかなか認めてくれないものです。
後遺障害の認定でも証拠は大事
さらにいいますと、裁判の場だけではなく、例えば自賠責保険に後遺障害の等級認定を申請する場合も、証拠(資料)がとても重要になります。
後遺障害の等級認定は、加害者側に保険会社がついている場合、「事前認定」という方法で、その保険会社を通じて申請してもらうこともできます。
しかし、この事前認定の場合には、被害者側が黙っていても十分な資料をそろえて一緒に提出してくれるというわけではありません。
等級を認めてもらいたいと思っている被害者の側で、病院からカルテなど必要な資料を取り寄せて「これを一緒に出してください」と申し出なければ、加害者側の保険会社は、申請に必要となる最低限の手持ち資料しか提出してくれないかもしれないのです。
自賠責保険の後遺障害等級認定でも、裁判の場合と同じように、資料の裏付けがなければ、被害者側が認めてもらってよいと思っている等級まではなかなか認定してくれません。
本当は認定してもらえる後遺症であるにもかかわらず、資料がないために認定を受けられなかったのだとすれば、適切な被害回復ということにはなりません。それはあってはならないことだと思います。
弁護士に相談してください
このように、交通事故の事件では、裁判の場に限らず、証拠(資料)がとても大事になります。
ぜひ、資料はなるべく確保しておくようにしましょう。
また、何か手続をとる前には、なるべく前もって弁護士に相談して、必要十分な資料がどの程度のものなのか確認するようにしてください。