「証明されていない」 ~言葉のトリック~
コラムの更新がすっかりご無沙汰となってしまっていました。
年明けから本業がかなり忙しく、コラムを書くまとまった時間がとれなかったことが理由です。
決して暇になったわけではないのですが、そろそろ書かないともう書けなくなってしまうかも・・・と思い、何とか時間を作って書いてみることにしました。
伝え方で人を不幸にすることも
弁護士会の仕事で広報に関わっていることもあって、以前から私は「広報」についていろいろ書いてきました。最近も、そうした広報に関連することで気になることがあります。
それは、「物事は伝え方次第で人を幸せにすることも不幸にすることもできてしまう」ということです。
よい商品、よいサービスを、より多くの人に届けるために、より多くの人に知ってもらう目的で行う広告などは、広い意味でいえば、人を幸せにする伝達手段といえます。
多くの場合、広報や広告は、このようなよい伝達手段なのだと思います。
質が伴っているか
しかし、こうしたよい伝達手段であるためには、大前提として、その伝えたいものの質がきちんと確保されていることが必要です。
質が伴っていなければ、よい商品でも、よいサービスでもなく、それを届けたところで、人を幸せにすることはできないでしょう。
誇大広告といわれるような広告は、まさにこの「質が確保されていない広告」です。
また、聞こえのいい勧誘をして人を騙す悪徳商法や、さらには人の心配に付け込んでお金を騙し取る特殊詐欺も、やはり中身が何もない、質を伴わない伝達手段といえます。
詐欺や悪徳商法に限らない
私は、今の世の中に、このような「質を伴わない伝達手段」が蔓延しているような気がしてなりません。
おれおれ詐欺のような特殊詐欺はもちろんですが、新聞やテレビの広告、ネット広告などでも、本当に信頼できる広告なのか疑問を持ちたくなるような広告が多くなってきている気がします。
弁護士や司法書士などの士業が行う広告も増えましたが、本当に質が確保されているのか、胸に手を当てて考えなければならない状況なのではないかと感じます。
おいしい話には裏がある
また、広告に限らず、人に何かを伝えるときに、本当のことやデメリットについては説明せず、聞こえのいい話ばかりする場面が増えたと思う方はいないでしょうか。
私は、最近あちこちで「いいことばかり」話している場面、アピールしている場面に遭遇すると感じています。
これも広告ではありませんが、大企業が大事なことを隠し続けて一般人に説明しないことや、政治家や有名人などの「いいことばかり」話すパフォーマンスなども、ある意味似たようなものではないかと思います。
こうした「質を伴わない伝達手段」は、悪く言えば「詐欺」や「騙す」といった言葉で呼ばれてもおかしくないものではないかと思うのです。
情報を受け取る側が気をつけましょう
本来であれば、当然、情報を発信する側が、人を騙すような伝達方法をとらないようにしなければならないところです。
しかし、「質を伴わない伝達手段」が蔓延している現実がある以上、そのような理想だけを語ってはいられません。
きちんと質が確保された、中身が伴った広告、広報、発言であるかどうか、それは情報を受け取るみなさん自身が、自己防衛のために、気をつけて見極めていただきたいと思います。