かかりつけ弁護士を見つけましょう
最近、「初回無料相談」など、弁護士が受ける相談を無料にするサービスが増えています。
こうした弁護士への相談の無料化は、みなさんへのサービスの向上、弁護士アクセスの向上という面ももちろんあります。
ですが、現実的な話をすれば、弁護士がここ10年ほどで急激に増えたにも関わらず世の中の事件数が減少していることにより、弁護士業界の競争激化が進んだため、弁護士業界で顧客獲得競争が起きているという面も否定はできません。
ところで、みなさんは、弁護士への相談が無料になることはよいことだと思いますか?
私は、よい面と悪い面があると思っています。
無料相談のよい点
よい面として挙げられるのは、弁護士に相談しやすくなることです。
以前は、法律相談は30分5000円というのが相場でした。
ですが、無料化により弁護士への相談に費用を気にしなくてよくなりますから、弁護士へ相談する際の一つの障害であった「費用」の心配がなくなります。
費用の心配がなくなれば、少しは弁護士に相談しやすくなるはずです。
無料相談の問題点
しかし、よい面ばかりとは限りません。
相談が無料ということは、弁護士は法律相談では収入を得られないことになります。
収入を得るためには、相談だけではなくその続きの事件の依頼を受けなければなりません。
となると、相談の場が、相談者にとって最も適切なアドバイスを受ける場ではなく、弁護士が顧客を獲得するための営業の場になってしまう可能性があるのです。
みなさんの立場でイメージするとすれば、車や家を買うときにディーラーやハウスメーカーを回るような感じでしょうか。
弁護士に限らず、司法書士や行政書士なども含めた士業の業界は、現在かなりの競争にさらされています。
ですから、無料相談かどうかに関わりなく、顧客獲得目的の強い士業の人も少なからずいるはずです。
無料相談の見極め方
これを見極めるのはなかなか難しいのですが、あえていえば「無料相談1回のみでは依頼を決めない」ことでしょうか。
タダより高いものはないともいわれます。
無料相談にも良い面と悪い面があると思いますので、みなさんも冷静に考えてからうまく利用するようにしてみてください。
弁護士会や法テラスの無料相談
なお、私が所属している札幌弁護士会でも、全国に先駆けて昨年10月から、弁護士会で行っている相談事業を全面無料化しました。
もっとも、現在の札幌弁護士会の無料相談は、相談者からは相談料をいただきませんが、弁護士には別途日当を渡しています。
ですから、上記のディーラーやハウスメーカーのような弁護士の営業競争の場になっているわけではありません。
また、弁護士の相談には、法テラスの「相談援助」というシステムがあります。
これを利用している場合には、法テラスから相談費用が支払われるので、各法律事務所での無料相談も、常に営業目的であるということではありません。
無料相談が何でもかんでもだめだという趣旨のコラムではありませんので、念のため付け加えさせていただきました。
ちなみに私の事務所でも、初めての方の敷居を少しでも下げるため、初めての方の相談は最初の30分間を無料にしています。
(2回目以降、30分経過した後は有料です)