弁護士の使い方 ~紛争予防のためのパートナーとして~
前回書いた紛争の「予防」と「備え」ですが、実はみなさんは、体のことではよく行っているのです。
それは「健康診断」です。
健康診断を定期的に受診している方は多いのではないかと思います。
健康診断を受けている方は、体の不具合や病気を早期に発見し、悪くならないうちに治療してしまおうと考えているのだろうと思います。
紛争予防の相談は健康診断のようなもの
以前、弁護士と医師は似ていると書きました。
それは、こうした健康診断についてもあてはまると思います。
弁護士の場合も、実際に紛争にまでなってしまった場合には、その状況なりに対処するほかありません。医師が入院させたりや手術をしたりするようなものです。
ですが、健康診断のような形で少しでも早く相談していただければ、より早期の段階で適切なアドバイスをすることができ、結果として大きな紛争を回避することにもつながるかもしれません。
よって、理想をいうなら、弁護士へも健康診断ならぬ「法律診断」を定期的に行っていただくことが、最も紛争予防につながるのではないかと思います。
しかし、実は弁護士の世界はお医者さんの世界とは違い、健康診断の検査の正常値のような、「法律診断の基準」になるようなものは存在しません。
検査の正常値のような平均的な統計の数字というものがあまりなく、客観的な基準を作ることが難しいからでしょう。
ですので、現在の社会には、残念ながら「法律診断」というものはありません。
通常の法律相談の中で、法律診断のようなことをしてみるくらいにしかなりません。
法律診断できるようになれば
もっとも、限界はあるとしても、年代や職業、立場などの違いにより、それぞれがどれだけ紛争の可能性に近づいているかどうか、また、その紛争が拡大する可能性がありそうかどうかという点は、ある程度までは類型化できるのではないかと思います。
いつか、法律診断のための基準が出来上がり、みなさんが健康診断を受診するような感覚で法律診断を定期的に受けるような世の中になれば、それも紛争予防のためのよい方法なのではないかと思います。