弁護士の「専門」の表示は信用できるか?
「弁護士は医師に似ています」というと、違和感がありますか?
でも、意外と共通点は多いんです。
どちらもお客さんとの契約は「委任」です
弁護士が依頼を受けるときの契約は委任契約といいます。「委任」とは、簡単にいえば、自分がやるべき行動を相手に頼むことです。
委任と似た言葉に「請負」があるのですが、委任と請負は法律上は意味が違います。請負は仕事の完成、つまり結果を出すことが契約の目的そのものなのですが、委任は必ずしも結果を出すことが目的ではないのです。
法律的には、医師の診療契約も「準委任」とされています(ここでは「準」はあまり気にしないでください)。
お医者さんは、診療によって良い結果が出るよう「最善の努力をする」のが仕事の目的であって、「治す」結果を保証しているわけではないのです。
弁護士も、裁判で結果を出すことを保証したりはしません。良い結果が出るよう「最善の努力をする」のが仕事の目的であることは、医師と一緒です。
どちらもお客さんを守る仕事です
医師は「生命」や「身体」、弁護士は「権利」という違いはありますが、どちらもお客さんの大事なものを守ることを目的とする仕事です。
どちらも本人の自己決定が大切です
医師の世界では「インフォームドコンセント」といわれますが、これは考えられる治療方法の選択肢をきちんと患者さんに提示して、それぞれのメリットデメリットを示し、患者さんが納得の上で同意することを言います。
弁護士の世界も同様です。
相談に来る方、依頼される方の事件はそれぞれの方の人生そのものであって、それぞれの方の人生の選択であるわけです。
弁護士は、考えられる様々な選択肢を提示し、それぞれのメリットやデメリットを示しますが、最終的にどの選択をするのかは、ご本人が決断すべきことになります。
弁護士は、「社会生活上の医師」といわれることがあります。
弁護士への法律相談も、病院やお医者さんを使うときと同じようにイメージしていただくと、わかりやすいと思います。
大きな法的トラブルに直面してしまい、弁護士に依頼しなければ解決できない場合というのは、いわば入院や手術のようなものです。
そうなる前に、風邪かな?と思うくらいのときや、さらにもっと早く、今はまだまだ健康だと感じているうちに健康診断を受けるような気持ちで、早めに弁護士の法律相談を受けていただければと思います。