「早期」に弁護士に相談するメリット
みなさんは、弁護士が必ずどこかの弁護士会に加入していることをご存知でしょうか?
また、弁護士が、その所属する弁護士会の仕事をしていることをご存知でしょうか?
弁護士の使命
弁護士の使命や職務については、弁護士法に定められています。
そこには、みなさんがイメージしやすい「事件の依頼を受け、代理人として裁判などを担当する」まさに典型的な弁護士の仕事ばかりが書かれているわけではありません。
弁護士法1条2項には「弁護士は、・・・(中略)、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない」と書かれています。
弁護士会の活動
弁護士の仕事は、事件の依頼を受けて、その職務を誠実に行うことが基本です。
しかし、法律実務の専門家である弁護士には、法律の根拠に従わなければならないという限界があります。よって、法律自体に問題がある場合には、憲法違反を裁判で問うことはもちろん、問題のある法律を変えていくよう声を上げることも必要な場合があるのです。そうでなければ、現在の目の前の依頼者ももちろんですが、将来の依頼者の権利や利益も守れなくなってしまうからです。
ですから、この「法律制度の改善」も、弁護士の大事な仕事になります。
こうした「社会秩序の維持及び法律制度の改善」のためには、依頼された事件を離れて、研究や提言などを行わなければならないこともあります。
こうした活動のためには、個々の弁護士が個別に取り組むよりも、弁護士会という単位で取り組む方が合理的です。
そこで、各地の弁護士会では、「委員会」というものを設置して、人権問題や消費者問題など、様々な社会的問題について検討・研究したり、弁護士会としての社会に対する提言を作成したりしています。
依頼事件とのバランス
さて、一弁護士である私の気持ちとしては、当然、目の前にいる依頼者の権利利益を第一に擁護していきたいと考えます。
ですが、他方で、弁護士法で義務とされている「社会秩序の維持及び法律制度の改善」にも取り組み、世の中の制度自体をよりよくしていかなければ、結果として依頼者の権利利益も守れなくなるかもしれないとも考えます。
当然のことですが、時間には限りがあります。私という存在はこの世に一人しか存在しません。その中であれも大事、これも大事ということになれば、二者択一というわけにもいきません。
かといってそのままでは仕事が進まないので、一時的にはやむを得ず仕事に優先順位をつけることもあります。ですが、そうなると今度は「今この仕事を最優先にしていてよいのだろうか」と、自問自答の繰り返しです。
最終的には「目の前の事件対応が第一なのは間違いないが、法律制度改善の取り組みも今やらないでよいのだろうか」という悩みに行き着いてしまうのです。
とはいえ、悩んだからといって正解が出てくるわけもありません。
そんなこんなで悩みながら、依頼された事件の対応を第一として取り組みつつ、弁護士会の委員会活動も行う毎日です。
なお、弁護士会の委員会活動への参加は原則として無償であり、直接的には全く収入になりません。
だからといって、娯楽的な趣味として取り組んでいるわけではありません。
あくまでも、依頼者の方を含めたみなさんの「基本的人権の擁護」と「社会正義の実現」のための活動であるということを、多くの方に知っていただきたいところです。