住宅新築、リフォームで使える補助金について
太陽光発電システムについて
1980年代では太陽光パネルといえば配管をパネルの中に配し、不凍液をとおし、その不凍液を温め、循環させてお湯をつくるという集熱貯湯方式の「太陽光集熱システム」でした。それも試験的に使ってみるという程度でしたが、1990年代に入り、従来からの集熱貯湯方式に加え、住宅メーカー、家電量販店が積極的にPRしている利用方式として結晶板をつかって発電する「太陽光発電システム」がポピュラーになってきました。どちらのシステムもそれぞれ良さがありますが、どの方式にせよ太陽光を利用するという自然エネルギー利用促進という点で今後も増々この流れは続いていくと思われます。採用にあたり、検討するポイントを説明いたします。
●コストについて
初期導入費用、売電収入のそれぞれの概算をつかむことが必要ですが、補助金申請の時の初期導入費用の上限目安から、費用概算をつかむこととします。
太陽光発電普及拡大センターへの補助金申請では、導入費用上限1kwあたり41万円以下、もしくは50万円以下となっています。
一般的に戸建住宅に導入される太陽光発電容量は、3.5kw~5kwですので、導入費用上限の1kwあたり41万円で計算すると123万円~205万円ということになります。
売電収入予測は太陽光で発電した電気―自宅で消費した電気=売電分の電気量ですので、その推定売電分電気量(余剰電気量)に平成25年度1kwあたり38円の10年間固定売電価格を掛け算して算出します。札幌市のオール電化住宅としてメーカー(LIXIL)の太陽光発電システム導入シュミレーションソフトを使って試算してみます。
条件
・札幌市
・オール電化住宅
・35坪
・屋根形状 切り妻
・屋根傾斜 6寸勾配
・設置屋根 東面
・生活スタイル 日中在宅と日中不在の中間
・設置前の電気量支払 月平均13,000円 年間154,000円
・発電システム 5kw フルパネル20枚(※屋根一杯に設置すると35枚 7.5kw)
・補助金利用 国100,000円、札幌市 105,000円
・10年後にパワーコントローラー取替 20万円
・ローン支払いなし
シミュレーション結果
・予測発電量 年間4,497kwh
・光熱費予測 予想節約金額は月々11,374円節約 年間136,488円の節約
(売電収入と曇り、雨、夜間などでの購電支出の増減を考慮した予測)
・17年後に投資金額205万円を回収完了
のようになりました。
この場合、毎月支払っていた電気料金の約87%を払わなくて済むことになり、実質の毎月の経済的負担が相当軽くなるという結果となり、20年間以上の長期の検討では17年目に初期導入費が回収される計算となりました。ローンの場合は、回収期間が金利の分、長くなりますが、長期スパンで考えると選択も有るのかと思います。
●耐久性、寿命(保証期間、耐用年数)について
公称寿命はメーカーによって違います。発電効率の比較と合わせて、耐久性比較も検討したいところですが、一般的に太陽電池モジュール自体は約20年以上と言われていますが、その他の配線、バックフィルム、フレームやネジに耐蝕性メッキなどが施されている等の仕様はメーカーにより違いがあり、実際の耐久性については、まだ歴史が浅い分、不明な部分があります。
一例としてメーカー(シャープ)の記述では以下のようになっていますので、参考としてください。
保証期間 :システム設置時に、10年保証(無償)、または15年保証(有償)
のどちらかを選ぶことができます。
寿命について:太陽電池モジュールで約20年以上です。その他の機器は設計寿命が10年程度の部品を使用し ています。
●発電効率の劣化について
太陽電池モジュールの種類(単結晶、多結晶、CIS等)によって違いますが、単結晶の場合で10年後92.4~93.7%、20年後85.3~87.8%、25年後82~85%で、どのメーカーも劣化はさけられないようです。
中島建築設計事務所
http://nakajima-sekkei.com