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中島正晴

住む人が笑顔で暮らせる家づくりを提案する建築のプロ

中島正晴(なかじままさはる) / 一級建築士

有限会社 中島建築設計事務所

コラム

エコシステム1 高効率給湯機について

2013年10月16日 公開 / 2013年10月22日更新

テーマ:新築 リフォーム 補助金

コラムカテゴリ:住宅・建物

高効率給湯機とは

 近年、電気・ガス・灯油ともそれぞれのメーカーが高効率給湯器を開発、普及しています。
エコキュート(電気)、エコジョーズ(ガス)、エコフィール(灯油)、エコウィル(ガス)、エコファーム(ガス)といった商品などです。
 我が家にとってどれを採用していったら良いか迷うところですが、まづ価格面で初期導入費用が今までの給湯器、暖房機と価格的にあまり変わらないものもありますし、補助金を利用しながらも最初の導入費アップ分で100万円以上となるものもあります。
 基本的にはお湯を作って、そのお湯を利用するものですが、給湯だけに利用するもの、給湯と暖房と両方利用するもの、暖房だけのものに分けて、それぞれの特徴を暖房機を含めて説明いたします。

●給湯専用のもの

<エコキュート(電気)>

 ヒートポンプで大気の熱を吸収して、お湯をつくり、そのお湯を給湯タンクに貯めて、台所、お風呂、洗面にお湯を供給します。深夜電力を使いますので、貯めたお湯を上手に使っていくことが必要です。ベランダなどに室外機を設置し、室内にも給湯タンクを設置しますので、そのタンクのスペースが大体1㎡くらい必要です。
初期導入費は、パナソニック製で寒冷地用フルオート370L定価771,750円(税込)工事費別です。初期導入費は高いですが、ランニングコストは370Lで月平均約2,300円(税込)と少ないことを考えての選択となります。オール電化の家で採用することの多いシステムです。 

<エコフィール(灯油)>

 従来の灯油炊きFF式給湯器と違って、灯油を燃焼した際に出る潜熱を回収して、燃焼効率を高めたものです。価格面で従来の給湯器よりも多少のアップですみますので、利用をお勧めです。札幌市では2万円の補助金を利用できます。フルオートで定価約46万円(税別)ですので、実勢価格ではその5割程度でしょう。停電時用に蓄電池設備をもったものは定価約10万円アップでありますので、停電時、災害時には重宝ではないかと思います。

<エコジョーズ(ガス)>

 エコジョーズには給湯暖房兼用のものと給湯専用のものがあります。特徴は、給湯暖房兼用機と同じです。エコジョーズとエコキュートを同程度の能力で比較するとエコジョーズは、リンナイ製寒冷地用給湯専用機フルオート24号定価246,750円(税込)ですが、エコキュートはパナソニック製寒冷地用フルオート370L定価771,750円(税込)で、3倍以上の価格差があります。また、それぞれ実勢価格では5割程度でしょう。
 ランニングコストはエコジョーズが月約9,600円(24号ノーリツ)に対して、エコキュートは月約2,300円(370Lパナソニック北海道電力エリア)と格段とエコキュートの方に安くなります。10年間でランニングと実勢イニシャルのトータルで考えてみると、エコジョーズが1,275,000円、一方エコキュートは661,000円でエコキュートの方が2分の1に安くなる計算です。導入のしやすさでは、エコジョーズの方が初期費用を抑えられる分、利点があります。

●給湯・暖房兼用のもの

<エコジョーズ(ガス)>

 ガスを燃焼させて、お湯をつくるしくみですが、燃焼時の排気中に含まれる潜熱を回収して燃焼効率を15%アップさせています。エコキュートと特徴を比較すると、エコジョーズは瞬間湯沸かし器タイプなので、使いたいときにすぐお湯が利用でき、一方エコキュートは貯湯式なので、湯切れの心配があるので、お湯の使い方を工夫しながら使うことになります。設置スペースでは、エコジョーズは480㎜×250㎜×750で普通の給湯器と同程度ですが、エコキュートは、タンクの大きさが630㎜×790㎜×2200㎜なので、1㎡程度の大きな設置スペースと床補強が必要になります。初期導入費ですが、リンナイ製寒冷地用給湯暖房機フルオート24号定価436,800円(税込)です。実勢価格はこの5割程度と考えられます。

<エコウィル(ガス)>

 都市ガスを燃焼させ、エンジンを動かして、エンジンに接続した発電機で電気を作りだし、その時、発生する熱を利用して、お湯もつくりだす仕組みです。ガスコジェネレーションシステムと言われるシステムです。初期導入費用は、実勢で70万円程度になるようです。お湯は貯湯タンクに貯めて使い、バックアップシステムとして補助熱源機がつきます。エネファームも同様ですが、お湯がタンクに貯まってしまうと発電しないというしくみになっている点に使用上の注意が必要です。価格面で、エネファームと比較すると安いので、導入しやすいシステムと言えます。

<コレモシステム>

 「エコジョーズと併用して使う家庭用コジェネレーションシステムです。暖房を行うと、自動的にガスエンジン(発電機)が稼働して発電を開始し、その排熱を利用してパネルヒータ-や床暖房などの暖房用温水を作ります。北海道の一般的な一戸建住宅において、排熱利用で暖房の6割~7割(年間)をまかない※1、自家発電により年間電気代の約4割を削減できます。また、「コレモ」は作ったお湯を貯めるための貯湯タンクが不要で、屋外に「コレモ」、屋内に「エコジョーズ」を設置するだけなので、室内スペースを有効に活用することができます。※1暖房の残りの3割~4割はエコジョーズがバックアップします。」(北ガスホームページより引用)
「コレモ暖房:発電時の排熱のみを使った暖房が可能です。エコジョーズを稼働させる必要がないため、 大きな暖房負荷を必要としない春先や秋口に最適なエコ暖房をご利用いただけます。」(北ガスホームページより引用)
「従来の方式よりCO2削減効果は年間約1トン、光熱費は約4万5000円節約できる。オープン価格で50万円程度を想定。」(日本経済新聞 記事より引用)
今後検討していきたいシステムです。

<エネファーム(ガス)>

 都市ガスの中に含まれる水素と空気中の酸素を化学反応させて電気つくりだし、その発電時に発生する熱を利用してお湯をつくる仕組みで、燃料電池と言われているシステムです。すばらしいシステムですが、難点は、まだ、初期導入時コストが高いという点です。燃料電池ユニット・貯湯ユニット・バックアップ熱源機のセットで製品定価1,995,000円(税込)します。国の補助金(上限額45万円)や自治体の補助金があるので、それらを使って初期費用を少しでもおさえることが可能です。
設置スペースは、一例として2,691㎜×750㎜のスペースが必要とされています。   

<ハイブリッド給湯・暖房システム>

 エコキュート(電気)とエコジョーズ(ガス)の併用です。
 ヒートポンプで大気の熱を吸収してお湯をつくり、給湯タンクにお湯を貯め、一方で都市ガスを燃焼させてもお湯をつくります。夜間電力を利用して夜間にお湯をつくっておくヒートポンプといつでもお湯をつくることができるエコジョーズの掛け合わせで、お湯の利用に不便さを感じないシステムです。1次エネルギー消費量比較では、ハイブリッド給湯器が、エコキュート、エコジョーズと比較して最も少ない給湯器です。
 このシステムの導入費はリンナイでヒートポンプユニット・タンクユニット100Lタイプ・熱源ユニットのセット定価803,250円(税込)ですので、実勢価格では50万円程度でしょう。この他に工事費がかかります。エコキュートと同程度の初期導入費と言えます。

<地中熱ヒートポンプシステム(地中熱)>

 地中にボアホールという深い穴を掘り、そこにパイプをループ状に挿入して、その中に不凍液を満たして循環させる方法で、地中熱を採熱するしくみです。戸建住宅の場合、10kwの出力に対して100m~150mの掘削をします。初期導入費用は実勢で280万円程度とされています。サンポットなどが、国産地中熱ヒートポンプユニットを開発し、低価格化が進んでいます。国や自治体に補助金があるので、それを利用して初期費用をおさえることになります。

●暖房用のもの

<ヒートポンプ式温水暖房システム>

 大気の熱を吸収して、パネルコンベクター、ファンヒーター、床暖房配管にお湯を供給します。エコヌクール(三菱)とパナソニックのシステムは床暖のみ、コロナは床暖以外にパネルコンベクター、ファンヒーターへの併用供給のシステムとなっています。
 また、同一の室外機で夏はエアコンに利用し、冷房も行うことができます。コロナでは、室外ユニット2台と循環ポンプ1台のセットで希望小売価格は約78万円、三菱のエコヌクールでは、システム合計費用について暖房対象面積が76.15㎡で定価約190万円(税込)工事費別となっています。35坪程度~40坪程度の家を一般的暖房ボーラ―を使って、セントラルヒーティングをするとシステム全体で工事費を入れて実勢130万円から150万円程度ですので、それよりは高くなります。

中島建築設計事務所
http://nakajima-sekkei.com

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