除雪・排雪のシーズン契約と融雪槽
できれば除雪の楽な家にしたいと誰もが思うことかと思います。ロードヒーティングや融雪槽に頼る前に、道路から玄関までのアプローチを工夫することで、「除雪の楽な家」にすることを考えたいと思います。
そのポイントは、
・当たり前のことですが、まづ、道路から玄関までのアプローチを短くする。
・広めの車庫にして車庫を通って、玄関に入る。
・道路から玄関までのアプローチに屋根をかける。または、2階が乗るようにする。
個々の敷地でさらに考えてみます。敷地の想定は、標準的な55坪程度大きさで、縦長敷地9.1m(間口)×18.2m(奥行)とほぼ正方形敷地12.7m(間口)×14.5m(奥行)の二つ。そして、それぞれの敷地で、南入りの場合と北入りの場合を想定してみます。
①南入り 縦長敷地9.1m(間口)×18.2m(奥行)
建物幅7.2m
道路側に庭を大きくとり、屋根付き玄関アプローチと車庫は道路に近接させる
建物形状は玄関アプローチ、車庫を組み入れた逆L字型にする。
もしくは、方形+玄関プローチ兼用屋根付きカーポート
②北入り 縦長敷地9.1m(間口)×18.2m(奥行)
建物幅7.2m
道路に近接して建物組み込みの車庫、玄関を設ける。
③南入り ほぼ正方形敷地 12.7m(間口)×14.5m(奥行)
建物幅10.8m
道路側に庭を大きくとり、車庫と玄関アプローチは道路に近接させる。
建物形状は、玄関アプローチ車庫を組み入れた逆L字型にする。
もしくは、方形+玄関プローチ兼用屋根付きカーポート
④北入り ほぼ正方形敷地12.7m(間口)×14.5m(奥行)
建物幅10.8m
道路に近接して建物組み込みの車庫、玄関を設ける。
4つの敷地パターンを考えてみましたが、除雪を楽にするポイントはほぼ同じです。縦長敷地で、南入りは、南側採光のほしい居間の幅が玄関、車庫にとられてしまい、プラン上不利になりそうです。その場合は、無理して屋根付き車庫を設けず、最近、出てきている換気排熱を利用したロードヒーティングで対応するなどに発想を切り替えるのもよいと思います。(換気排熱利用システム:「ゆうらく」北欧住宅研究所、伊藤組土建共同開発)
北入り敷地の道路と車庫、玄関との間の距離ですが、自分の車の他、来客または、センカンドカーのことを考えると、車を横付けにしてもらい、幅7m、奥行2.5mくらいのスペース(17.5㎡)をとるか、道路との距離は60cmくらいにして、組み込み車庫を北から南へ縦列で長くとることも考えられます。横付けスペースをとるときは、その部分を除雪するか、融雪するか、屋根をかけるかを考えなければなりません。
車庫の取り方で、車庫を半地下にした場合は玄関まで12段、13段程度の屋外階段が生じてしまいます。階段ヒーターなどを付けると一か月1万円程度のランニングコストがかかっていまいますので、その部分の屋根も考える必要が出てきます。
また、玄関までを6段くらいの階段で抑えようと、車庫の上を中2階にすることも考えられますが、内部1階まわりに1.2m~1.5m程度の段差が生じますので、バリアフリーの観点で考えると使いにくいかもしれません。
除雪を楽にするポイントは、新築だけでなく、風除室を増設したり、屋根なし駐車場を屋根のある車庫にする時などにも基本的には同じ考え方でよいと思います。
正方形、総2階建の家で南入りの場合は、玄関アプローチに車庫兼用で幅の大きめでかつ光をあまり遮らない既製品のカーポート(札幌程度で使える積雪1.5m用のポリカボネート製の屋根のものもあります。)を置くのもよいのではないかと思います。
既製品のカーポートは、オプションで透明な腰壁用サイドパネルも用意されていますので、雪の吹き込み対策にもよいのではないかと思います。高さ1m程度で長さ5m程度のものが、10万円程度です。2段に使うと壁のようにもなります。
写真は、ほぼ正方形敷地 南入りの玄関アプローチです。建物形状は逆L字型です。
敷地内除雪面積は、幅1.4m×奥行0.6mで、1㎡以下と小さくしました。隣の庭スペースは、主に、玄関の除雪の雪というよりは、2階の雪庇を落としたときの堆雪場となっています。
参考にしたもの(敷地内除雪等について詳しくしりたい方はどうぞ)
「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」北海道立北方建築総合研究所
「次世代北方型住宅の除雪に配慮した配置計画に関する研究」北海道立北方建築総合研究所
「北方型住宅 敷地内雪処理」北海道建設部建築指導課