三角屋根(落雪防止屋根)の雪とツララ Q(私)&A(オーナー)
2013年、札幌は記録的な大雪に見舞われました。2013年2月25日、26日に私が第3者工事監理(建て主サポート)や設計・監理で関わった三角屋根(落雪防止屋根)、スノーダクト屋根、フラットルーフ屋根の雪の状態を施主にご協力いただき、撮影、比較してみました。屋根形状の選択の参考にしていきたいと思います。尚、2011年2月同一日に撮影した記録は前掲コラム「屋根の雪 屋根の形よってどうなるか?」に載せていますので、合わせてご覧ください。北海道立北方建築総合研究所からも冊子「戸建住宅の屋根の雪処理計画」が出されています。
三角屋根(落雪防止屋根)
輸入住宅メーカーの設計・施工の住宅ですが、建て主から依頼され私の事務所で工事監理相当の施主サポートをさせていただいたご住宅です。竣工してから今年で14年になります。
コロナルーフという屋根材で、鋼板表面に石粉を吹き付けて表面がザラザラとなっていることで、雪が滑落しないしくみとなっています。
建設当時は、この屋根材について北海道立寒地住宅都市研究所で落雪状況の研究がされている最中でしたが、現在は、確認申請において札幌市の「落雪防止の機能を備えた屋根材とみなされる工法による場合」の一つになっています。軒先から敷地境界まで1.1m以上の離れをとるとクリップ式雪止め等を設置しなくても確認申請上、「設計者及び建築主が氷雪の落下による危害を防止するために有効な措置であると判断した」として良いことになっています。
道路正面(南)
雪が落雪しないで屋根に積もっている様子がわかります。
谷のところは氷柱が1mほど成長しています。
軒先と道路正面左側(西側)敷地との離れは0.4mで、西面はクリップ式雪止めを設置しました。
道路反対面(北)
落雪しないで屋根に雪が30㎝程度積もっています。小さな氷柱(つらら)が軒先に下がっていました。奥の屋根端部では1m程の氷柱があります。朝陽で雪が融けやすいせいかもしれません。
竣工当時は、この屋根材について北海道立寒地住宅都市研究所で落雪状況の研究がされている最中でしたが、現在は、確認申請において札幌市の「落雪防止の機能を備えた屋根材とみなされる工法による場合」の一つになっています。
軒先と敷地との離れは1.1mあります。
スノーダクト屋根(トイ有のM型屋根)
設計及び工事監理をさせていただいたご住宅です。
2月25日撮影ですが、その日、写真を撮らせていただいた後、2階の雪庇(せっぴ)落としをされていました。
フラットルーフ屋根(緩勾配片流れ屋根)
1階車庫、2階ピアノルームの増築部分を設計、工事監理をしたご住宅です。
道路正面(南)
風下側に雪庇(せっぴ)が発達しているのが見受けられました。道路側には雪庇はありませんでした。
道路反対側(北)
設計上ガッチリとした雪止めを設置していますが、予想どおり屋根勾配の水下側に50㎝程度の雪庇(せっぴ)が伸びていました。
以下札幌市役所ホームページより抜粋
札幌市では、建築確認において「氷雪の落下による危害を防止するための措置」をつぎのとおりとしています。
・軒先から敷地境界線までの水平距離が十分にとれる場合
・屋根面に雪止め金具を有効に設置する場合
・落雪防止の機能を備えた屋根材とみなされる工法による場合
「落雪防止の機能を備えた屋根材とみなされる工法による場合」
商 品 名 軒先から敷地境界までの距離
1.スノーストッパールーフ ―
2.ステイルーフ ―
3.ルーフヒーティング ―
4.コロナルーフ 1.1m以上
(アンバサダ、カワラS等を含む)
5.ローザールーフ 1.3m以上
6.横葺き210S ―
7.金属屋根材メトロタイル 1.1m以上
8.金属屋根材ディーズルーフィング 1.1m以上
9.ストーンウェイブⅠ型 1.1m以上
なお、「落雪防止の機能を備えた屋根材」については、設計者及び建築主が氷雪の落下による危害を防止するために有効な措置であると判断し設置するものであり、それを前提に建築確認をすることになります。
中島建築設計事務所
http://nakajima-sekkei.com