市町村・企業の危機対応力の底上げを通じて、地域の防災・減災と災害関連死の予防を目指す（2/3）

陸上自衛官として積み重ねた災害時の支援経験を生かし「防災で恩返し」

　陸上自衛隊時代、師団の幕僚長や防衛駐在官などを歴任した北村さん。阪神淡路大震災、新潟県中越沖地震、東日本大震災といった災害時にも関わりました。退職後は道庁で職務に励み、道庁、振興局及び市町村などの防災訓練に関与し、前例がなかった全庁挙げての訓練実現にも貢献できました。

　この訓練の約1カ月後の2018年8月、観測史上初めて1週間に三つの台風が北海道に上陸。各地で記録的な大雨が降り、道東を中心に河川の氾濫や土砂災害が発生しました。北村さんは道対策本部の連絡役として自治体へ。目にしたのは、行政職員が自身も被災しながら災害対策本部を立ち上げ、奔走する姿でした。

　「皆さん手探りの状態で、不安も大きい様子だったので『落ち着いて』と、お声掛けしながら現場を見回って随時本部に報告しました。まず状況を把握し、現状に即した方針を立てて実行する。自衛隊では常ですが、ノウハウがない職員さんが地域住民を守っていくのは、並大抵のことではありません」
　
　緊急事態に備えるべきと分かっていても、小規模の自治体では人員に余裕がなく、国の指針に沿うのも難しい。しかし、災害は時と場所を選ばず起こる。被害を小さくするには、行政の防災や危機管理を助ける存在が必要だと痛感します。

　連隊長として1000人の部下を指揮したこともある北村さんは、「貴重な経験をさせてもらったからこそ、身に付けたことを還元し、恩返ししたい」との思いで、2022年に会社を立ち上げました。

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